研究課題
これまで造血器腫瘍を中心に、SNPアレイによるゲノム増幅を中心とするゲノム再構成の解析や、新規キメラ転写産物の同定を目指して行ったRNAシーケンスのデータから見出した結果を基に、キメラ転写産物形成に関する複数の解析を行ってきた。その研究過程で見出された、腫瘍細胞にみられ、これまで十分に解析されていない新しいタイプの染色体・ゲノム異常の正確な構造と、異常転写産物生成に関与するゲノム構造の変化の詳細を解析している。今年度より所属施設を異動したため、まず新たな研究室で研究環境のセットアップを行った。前所属施設では同じ施設内の共同研究者に依頼していたバイオインフォマティクス解析を当研究室内で独自に行うためのコンピュータの設置を行い、FASTQファイルなどの元配列データを用いた解析ができる環境を整えた。そこで、これまでにRNAシーケンスを行った造血器腫瘍細胞株について、まずは以前と同様のdeFuseによる解析を行い、同様の結果が得られるかどうかを確認した。また、以前はエクソン同士の融合にのみ注目して解析を行ってきたが、その中から、本研究では融合遺伝子断片として同定される多くのエクソンとイントロンの融合に着目し、RT-PCRによるバリデーション、ゲノムDNAでの融合の有無などを確認している。現在さらに、SRAの公開データから各種腫瘍細胞株のデータを取得し、同様の解析を始めたところである。
3: やや遅れている
所属異動による研究体制の再構築に時間がかかり、実質的な研究開始が遅れた。
予算面から独自に新たな次世代シーケンサーによる塩基配列データを大量に得るのは困難であるが、SRAなどの公開ゲノムデータを用いることにより、膨大な量のゲノム情報を解析することができるため、そのメリットを最大限に生かして解析を行っていく。特に、これまで解析対象から見捨てられていた情報を中心に、既存データを独自の視点で再解析することにより、十分に研究計画を達成できると考えている。
発注物品(消耗品)の納品が年度内に間に合わなかったため次年度使用額が生じた。物品が納品され次第、執行する。
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Int J Hematol
巻: 108 ページ: 91-97
doi: 10.1007/s12185-018-2439-x
巻: 108 ページ: 438-442
doi: 10.1007/s12185-018-2492-5