研究課題/領域番号 |
18K08336
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
黒田 芳明 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00625840)
|
研究分担者 |
古川 雄祐 自治医科大学, 医学部, 教授 (00199431)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 多発性骨髄腫 / APOBEC3B / MGUS / 点突然変異 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、APOBEC3遺伝子がMGUSから多発性骨髄腫の進展および悪性化を促進するという仮説の検証、APOBEC3遺伝子の骨髄腫進展予測と治療介入のマーカーとしての応用、これを標的とする抗骨髄腫薬の開発である。骨髄腫細胞においてはAPOBEC3B(A3B)が特異的に強発現していたが、骨髄腫細胞株ではintron7が含まれた異常なmRNA(A3Bi7)が発現していることを見出し、A3BおよびA3Bi7を強発現するトランスジェニックマウスを作成し、骨髄腫発症確認のためのライン化を準備している。共同研究施設におけるMGUS/骨髄腫患者におけるA3B強発現とA3Bi7の特異的発現を確認した。A3Bi7と正常A3Bの機能の違いを明らかにするため、A3Bi7と野生型A3B cDNAを293細胞に導入したところ統計的有意差を持ってA3Bi7導入細胞でcytidine deaminase活性が高かった。導入細胞の長期培養にてp53遺伝子ではGC>AT点突然変異がA3Bに比べA3Bi7導入細胞では著明に高頻度でありA3Bi7の強発現が骨髄腫において遺伝子変異蓄積を促進している可能性を示唆している。A3B及びA3Bi7発現の骨髄腫悪性化に与える影響を解析するためそれぞれMM1S骨髄腫細胞株に遺伝子導入した。A3Bi7はA3Bと比べ高分子量として蛋白発現を確認できA3Bi7はスプライシングされずタンパク発現していることが推察された。続いてA3B及びA3Bi7の抗骨髄腫薬による発現変化を解析した。MM1S 、KMS12BM骨髄腫細胞株において、OHCYやL-PAMの添加によりA3B及びA3Bi7の顕著な発現亢進が観察され、OHCYでは濃度及び時間依存性の発現亢進が認められた。アルキル化薬によるDNA damageに伴ってA3BおよびA3Bi7の発現が亢進したと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トランスジェニックマウスの作成は成功したが、継代化に時間を要している。また、コロナ禍もあり臨床検体の集積も予定より遅れがみられている。
|
今後の研究の推進方策 |
予定通り、骨髄腫細胞に発現しているA3Bi7と正常A3Bの機能の違いを明らかにしていく。引き続きトランスジェニックマウスのライン化・観察を行い、骨髄腫発症を確認する。患者検体のA3Bi7の発現解析を継続し、進展予後との関連を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
動物実験の進捗が遅れている分余剰金が生じた。来年度動物実験に早々に使用する。
|