研究課題
POEMS症候群はplasma cell dyscrasiaを基盤として高VEGF血症とMタンパク血症を伴い,多発神経炎を始めとする多彩な全身症状を呈する予後不良な疾患であるが,その発症機構は依然不明である。我々は本症候群のMタンパクはほぼ全例でλ型であり,わずか2種類のgermlineに由来することを報告した。本研究は骨髄形質細胞の単一細胞レベルで網羅的遺伝子解析を行うことにより,POEMS症候群の発症機構を解明することを目的とした。患者骨髄よりMACSとFACSを用いてCD138陽性形質細胞を純化し,最大96個のシングルセルRNAライブラリーを作成し,次世代シーケンサーを用いて解析した。シーケンス結果のレパトア解析によりクローナル形質細胞を同定し,さらにクローナル形質細胞に特徴的な遺伝子発現パターンの解析を行った。POEMS症候群10例、MGUS 2例、多発性骨髄腫2例、正常コントロール2例のシングル形質細胞RNAシークエンスを行った。クローナル形質細胞の同定にあたっては,免疫グロブリン構成遺伝子のV-D-J(V-J)のgermlineが同一、V-J間にランダムに挿入される塩基で特異的な抗原認識に重要な役割を担うCDR3領域の配列が同一,かつ免疫グロブリンのクラスが同一なものをクローナル形質細胞と定義した。6例においてPOEMSクローンを検出できたが,そのクローンサイズは極めて小さく,0.3%程度であった。いずれのクローンもVEGF発現亢進はなく,クローン性形質細胞によるVEGF産生は否定的となった。クローン性形質細胞はMHC class IIとCD19の発現低下を認め,これらの性質からフローサイトメトリーにてクローン性形質細胞を検出方法を確立することが出来た。遺伝子発現解析により,POEMS症候群のクローン性形質細胞の特徴を明らかにすることが出来た。
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