研究課題
Flt3-ITD、Jak2-V617Fなどの活性化チロシンキナーゼ変異体は造血器腫瘍の発症や進展のみでなく治療抵抗性にも寄与するので、これらとそのシグナル経路を標的とする統合的治療法の開発を目指し研究を行い以下の成果を得た。FLT3-ITD陽性白血病細胞では、proteasome阻害薬bortezomibやcarfilzomibがREDD1の発現を亢進することでmTORC1経路抑制効果を示し、STAT5やPimの抑制と共にapoptosisを相乗的に誘導しうることを見出した(doi: 10.1016/j.tranon.2018.11.001)。また、WP1130やEOAI3402143 (G9)等の脱ユビキチン化酵素(DUB)阻害薬によるUSP9Xの抑制により、FLT3-ITDがaggresomeへ移行し下流のシグナル経路活性化が阻害されると供に、細胞ストレスシグナルが活性化され相乗的にapoptosisが誘導された(10.1016/j.canlet.2019.03.046). USP9Xの抑制はJAK2-V617F陽性細胞でも同様の機序でapoptosisを誘導し、特にJAK1/2阻害薬ruxolitinib抵抗性の細胞により顕著な効果をもたらした(10.3390/j.cancers2020406)。さらに、FLT3-ITDはRSKキナーゼを活性化しmTORC1経路を活性化すると共に、eIF4Bをも直接的にリン酸化し、白血病細胞のapoptosisを抑制した(10.3390/j.cancers1121827)。本年度は、MPLと結合しJAK2の異常活性化により骨髄増殖性腫瘍の発症に関与するCALR変異陽性細胞で、ruxolitinibへの長期暴露がMPL発現を亢進させruxolitinib抵抗性を誘導することを報告した(第82回日本血液学会学術集会 2020)。
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