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2019 年度 実施状況報告書

細胞エネルギー代謝を介する造血幹細胞の巨核球分化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K08364
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

石津 綾子  東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10548548)

研究分担者 須田 年生  熊本大学, 国際先端医学研究機構, 卓越教授 (60118453)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード造血幹細胞 / ミトコンドリア / 巨核球 / 分化 / 代謝
研究実績の概要

正常な止血プロセスには骨髄造血幹細胞(HSC)より分化する巨核球(Mk)から血小板が適切に生成されることが必要である。当研究は、骨髄ニッチにより産生されるcytokine, Thrombopoietin(Thpo)とそのmitochondria代謝の活性能に着目し、mitochondria代謝の制御を介したHSCのMkへの直接的分化の決定メカニズムを解析することが目的である。これまで、Thpo刺激・非刺激及びmitochondria high/low HSCの競合的骨髄移植を行い解析した。Thpo刺激HSCは非刺激HSCと比べ血小板・巨核球分化傾向が強い結果を得られた。また、HSCをTMREにて染色し、Mitochondria機能が高いHSCと低いHSCを競合移植した結果、mitochondria high HSCはmitochondria Low HSC と比べ血小板・巨核球分化傾向が強い結果を得られた。さらに、既に作成済みのThpo遺伝子欠損マウスから分離したHSC解析したところ、Thpo欠損の骨髄環境に置かれたHSCは細胞周期が活発に周り、増殖傾向を示すにも関わらず、ミトコンドリア活性は低い傾向にあり、ATPエネルギーの産生も低い傾向にあることを確認した。昨年度はTPO遺伝子欠損マウスの解析を行い、Thpo欠損下において、HSCの数の減少、静止期破綻が認められ、HSCのMitochondria体積が低下し、ATP産生能も低下することを認めた。しかしながら、Thpo遺伝子欠損マウスより分離培養したHSCを競合的T骨髄移植したところ、正常な骨髄再構築能を示した。これらのことはhpo欠損による造血幹細胞障害が可逆的であることを示唆している。
今後さらにThpo遺伝子欠損マウスHSCを解析するとともに、Thpo受容体アゴニストなど用いてThpoシグナルによる幹細胞制御、特にMitochondria制御を解析していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでの研究はおおむね良好に進んだと思われる。しかしながら、昨年度7月に研究代表者は熊本大学より東京女子医科大学へと移動となった。このため、これまで解析していたThpo遺伝子欠損マウスなどのマウスラインを閉じ、東京女子医大にてあらたに遺伝子改変マウスを導入することを計画している。また、この間、ラボの引っ越しのため、試薬、細胞株などの移動が重なり、実験が遅れた。しかし、東京女子医科大学では現在、マウス施設を新構築中であり、早くても本年度6月からしか遺伝子改変マウスの飼育はできない状況である。

今後の研究の推進方策

マウス作成までの間、野生型マウス由来のHSCやThpo受容体アゴニストを用いた実験系を考えている。また、HSCの培養実験、細胞株の培養実験にてThpoシグナルの作用を検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者は昨年度7月に熊本大学から東京女子医科大学にラボを移転し、年度途中の移動、引っ越しがあり、そのため、実験計画が遅れ、支出が遅れたため、次年度への使用額が生じた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Multifaceted roles of thrombopoietin in hematopoietic stem cell regulation2019

    • 著者名/発表者名
      Nakamura‐Ishizu Ayako、Suda Toshio
    • 雑誌名

      Annals of the New York Academy of Sciences

      巻: Apr;1466(1) ページ: :51-58

    • DOI

      10.1111/nyas.14169

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Thrombopoietin-mediated metabolic homeostasis for the maintenance of bone marrow hematopoietic stem cells2020

    • 著者名/発表者名
      Ayako Nakamura-Ishizu
    • 学会等名
      Hematology Meeting of Hematopoietic and Leukemic Stem Cells
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] “The multifaceted roles of thrombopoietin in hematopoietic stem cell maintenance”2019

    • 著者名/発表者名
      Ayako Nakamura-Ishizu
    • 学会等名
      Japan Association of Anatomists, regional meeting, Invited speaker,
    • 招待講演
  • [学会発表] Quiescence induction in a Thpo-independent HSC subset2019

    • 著者名/発表者名
      Ayako Nakamura-Ishizu
    • 学会等名
      日本血液学会
  • [学会発表] A Thpo-independent HSC subset which can be induced to quiescence2019

    • 著者名/発表者名
      Ayako Nakamura-Ishizu
    • 学会等名
      Cancer Science Institute, CSI meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Characterization of Thpo-independent hematopoietic stem cells which are induced to quiescence2019

    • 著者名/発表者名
      Ayako Nakamura-Ishizu
    • 学会等名
      ISEH
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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