2020年度は、昨年度までに完成させた高性能single cell RNA-seqパイプラインを用いて、当初計画の細胞種に対するsingle cell RNA-seqを施行する予定であった。このパイプラインは1細胞から約11000種類の遺伝子の発現を定量的に検出することに成功しており、現在一般に用いられている手法が約3000遺伝子しか検出できないことと比較して、世界的に見ても最高水準のscRNA-seq手法の実装であると言える。遺伝子発現解析方法をマイクロアレイからRNA-seqに変更したために、実際の細胞を使った測定が遅くなったが、このRNA-seqへの転換は世界的流れであり早めに対応できたことは極めて重要であった。 しかしCOVID-19が発生し、その影響によって実験機会の制限とハイスループットアッセイ関連の実験消耗品の入手困難が発生し研究遂行の遅延が起きている。状況が改善し次第、マウス骨髄内に存在する極めてヘテロな各種細胞をターゲットとして、遺伝子発現状態をsingle cell RNA-seqを用いて網羅的に解析し、細胞間コミュニケーションのモデルを構築する。
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