研究課題
全身性エリテマトーデスにおけるSRSF1-RasGRP1-MAPK経路の解明我々は過去に、SLE患者T細胞においてRasGRP1スプライス異常の頻度が健常人と比較して高く、これに関連して蛋白レベルが低下することを報告した(Yasuda S et al, J Immunol 2007)。続いて、SLE患者T細胞におけるRasGRP1のスプライシング異常に代表的なSR蛋白であるSRSF1の発現低下が関与し、下流のMAPK経路の活性低下、さらにはIL-2産生障害、DNA低メチル化などのSLE患者T細胞に特徴的な性質に関与することを示した (Arthritis Rheum 2018)。関節リウマチの線維芽細胞様滑膜細胞 (FLS)における細胞内シグナル異常の是正本研究では、一部のRA患者由来の滑膜線維芽細胞 (FLS)においてRasGRP2/4が強発現する事が明らかになった。RasGRP2はRap1を活性化することでFLSの細胞骨格を変化させ、遊走・接着を促す一方、RasGRP4はRas-MAPK経路を介して増殖を促し、両経路は協働して関節炎病態に関与する事を示した(Ann Rheum Dis 2018)。さらに、farnesyltransferase inhibitorがin vitroでFLSにおけるRasGRP4とRasの会合を阻害し、下流のMAPK経路を抑制する事でその増殖能を低下させることを示した。RA滑膜においてはIL-6はFLSからのVEGFおよびRANKLの産生を促す。RANKLはNF-kB経路の活性化を促すことが知られているが、我々の検討により、NF-kBがRANKLのプロモータ領域に結合してその発現を亢進するポジティブフィードバック機構が存在することを見出した。さらに、NF-kBを抑制するmicro RNAであるmiR-9によって関節炎が抑制されることが、ラット関節炎モデルにて明らかになった (Clin Immunol 2020)。
すべて 2020 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 産業財産権 (1件)
Clinical Immunology
巻: 212 ページ: 108348
10.1016/j.clim.2020.108348.