研究課題/領域番号 |
18K08381
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坪井 洋人 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80580505)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | IgG4関連疾患 / シェーグレン症候群 / CCL18 / CCR8 / 口唇唾液腺 |
研究実績の概要 |
T、B細胞のケモタキシス、線維化誘導に関わるケモカインであるCCL18とその受容体であるCCR8に関して、IgG4関連疾患(IgG4-RD)の病変局所における発現・発現細胞、病態形成における機能、治療標的の可能性を明らかにすることを目的に、以下の解析を行った。 1)IgG4-RD(N=3)、シェーグレン症候群(SS)(N=4)、健常人(HC)(N=5)の間で、口唇唾液腺(LSG)におけるCCL18、CCR8のタンパクレベルでの発現および発現細胞を免疫蛍光染色(IF)で比較した。IgG4-RDのLSGでは、SS・HCと比較してCCL18陽性マクロファージ・樹状細胞・形質細胞、HCと比較してCCL18陽性B細胞は有意に増加していた。IgG4-RDのLSGにおけるCCR8陽性T・B・形質細胞数は、HCと比較して有意に増加していたが、SSと同等だった。 2)HCの末梢血単核球をCD40L+IL-4±IL-10±IL-21刺激下で8日間in vitroで培養し、上清中のtotal IgG、IgG2、IgG4濃度をCBAで測定した。CD40L+IL-4刺激と比較して、CD40L+IL-4+IL-10+IL-21刺激では、total IgG、IgG2、IgG4産生が有意に増加した。さらにCCL18を添加すると、IgG4産生は有意に増加したが、total IgG、IgG2産生は変化がなかった。 3)既報のIgG4-RD類似病変を呈するモデルマウス(LAT Y136F変異マウス)において、6週齢以降littermateと比較して、唾液腺炎、膵炎、リンパ節腫脹、脾腫の発症、およびリンパ節T細胞におけるCCR8の発現亢進を確認した。 IgG4-RDのLSGおよびIgG4-RD類似病変を呈するモデルマウスにおいてCCL18-CCR8経路の発現亢進が認められ、IgG4産生増加にも関与する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト検体を用いたCCL18-CCR8経路のタンパクレベルでの発現解析、in vitroでの機能解析はおおむね完了した。今後IgG4-RD類似病変を呈するモデルマウス(LAT Y136F変異マウス)を用いて、CCL1、CCL8(CCL18のマウスにおける相同遺伝子)、CCR8の発現解析を予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
1)in vitroでのIgG4産生に対するCCL18添加の影響に関して、HCの末梢血単核球から分離したCD19陽性B細胞を用いて解析する。さらにHCに加えて、IgG4-RD、SS患者の末梢血単核球、CD19陽性B細胞を用いた解析も行う。 2)既報のIgG4-RD類似病変を呈するモデルマウス(LAT Y136F変異マウス)を用いて、IgG4-RD類似病変(臓器におけるリンパ球形質細胞浸潤、線維化、IgG1産生増加)の再現性を確認する。次にCCL1/CCL8(CCL18のマウスにおける相同遺伝子)-CCR8経路の発現亢進を、定量PCR、免疫蛍光法、フローサイトメトリーを用いてin vivo/ex vivoで解析する。 3)上記2)でLAT Y136F変異マウスにおけるCCL1/CCL8-CCR8経路の発現亢進が確認された後、CCL1/CCL8-CCR8経路を標的とした治療(抗CCR8中和抗体)の有効性をin vivoで解析する。
|