研究課題
T、B細胞のケモタキシス、線維化誘導に関わるケモカインであるCCL18とその受容体であるCCR8に関して、IgG4関連疾患(IgG4-RD)の病態形成における機能、治療標的の可能性を明らかにすることを目的に、以下の解析を行った。1)in vitroでのCCL18添加により、CD40L+IL-4+IL-10+IL-21刺激後の健常人末梢血単核球からのIgG4産生は有意に増加したが、total IgG、IgG2産生、健常人末梢血CD19陽性B細胞からのtotal IgG、IgG2、IgG4産生に有意な変化はなかった。2)IgG4-RD疾患類似モデルマウス(LATY136F knock in mouse;LATマウス)の唾液腺、膵臓のヘマトキシリン・エオジン(HE)染色、マッソントリクローム染色、免疫蛍光染色(CD4、B220)を行い、littermateマウスと比較した。また盲検下で唾液腺の炎症細胞浸潤のfocus scoreを評価した。6、10週齢ともに、LATマウスの唾液腺、膵臓ではCD4陽性T細胞とB220陽性B細胞を含む単核球浸潤と線維化を認めた。唾液腺におけるLATマウスのfocus scoreはlittermateマウスと比較して有意に高かった。3)LATマウスの各組織のCCL8(CCL18のマウスにおける機能的相同遺伝子)、CCR8のmRNA発現を、定量PCRでlittermateマウスと比較した。6週齢以降、LATマウスでは、唾液腺、膵臓、腎臓におけるCCL8、CCR8の発現、脾臓、胸腺におけるCCL8の発現が有意に高かった。以上の結果から、CCL18-CCR8経路はIgG4クラススイッチ亢進に寄与する可能性が示唆された。またLATマウスでは、病変局所においてCCL8-CCR8経路の発現が亢進し、同経路は新規治療標的となり得る可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
ヒト検体を用いたCCL18-CCR8経路のin vitroでの機能解析を完了した。今後IgG4-RD疾患類似モデルマウス(LATY136F knock in mouse)を用いて、CCL8(CCL18のマウスにおける機能的相同遺伝子)-CCR8経路を標的としたin vivoでの治療実験を予定している。
1)IgG4-RD疾患類似モデルマウス(LATY136F knock in mouse)に抗CCL8中和抗体を投与し、唾液腺炎の治療効果があるかどうかを評価する。2)1)で抗CCL8中和抗体の治療効果が認められた場合、抗CCL8中和抗体投与後の線維化への影響、CCL8-CCR8発現および発現細胞への影響、サイトカイン産生への影響を解析する。
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