研究課題
2019年度はResolvin E3(RvE3)に関する基礎的検討を実施した。ハウスダストマイト(HDM)誘導喘息モデルマウスにおけるResolvin E (RvE)群の炎症収束効果の解析を行った。RvE3は、RvE1やRvE2と比較して、より強力にアレルギー性喘息モデルで抑制効果を示した。また、RvE3のこの作用機序は、樹状細胞からのIL-23/IL-17産生を抑制することにより惹起されることが示唆された。LTB4のリガンドでもあるLTB1がRvE3の受容体としても関与していることを明らかにした。RvE3の作用に関してその受容体の一部を確認することができた。これらの成果の一端は、2019年8月にFASEB J 誌に発表した(FASEB J.2019 ;33 : 12750 - 12759)。2020年度は、化合物としてより安定で、強力なデオキシ誘導体を共同研究者とともに合成し、その効果を検討して論文発表した(J Org Chem. 2020; 85: 14190-14200)。安定で強力な誘導体を用いたin vivo実験に関しても研究を進めてきた。各誘導体の効果を確認し、創薬に向けた研究展開を進めた。2021年度は、インスリン抵抗性に対するRvE3の効果についての論文を発表した(FASEB J.2022 ;36 : e22188)。喘息発症・増悪をもたらす病態の解明や新規治療法の開発を目指すことを目標として研究をさらに進めた。2022年度は、化合物としてより安定で、抗炎症作用が強力なRvE3誘導体を共同研究者とともに合成し、その効果を検討して論文発表した(J Org Chem. 2022; 87: 10501-10508)。一連の研究で、抗炎症効果と炎症収束効果を持つ脂質メディエーターであるresolvinの喘息治療薬としての可能性を示すことができた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件)
Frontiers in Pharmacology
巻: 14 ページ: 1037610
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The Journal of Organic Chemistry
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