研究課題/領域番号 |
18K08384
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
本田 善一郎 お茶の水女子大学, 保健管理センター, 教授 (70238814)
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研究分担者 |
本田 浩章 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40245064)
由良 敬 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50252226)
市 育代 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (50403316)
河野 肇 帝京大学, 医学部, 教授 (60585074)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Fc受容体 / 膜貫通ドメイン / 自己免疫疾患 / 創薬標的 / シグナル伝達 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
抑制型IgG Fc受容体(FcgR)であるFcgRIIBの膜貫通部位(TMD)に見出されたヒト全身性エリテマトーデス(SLE)発症を促進する多型、FcgRIIB I232Tは「TMD相互作用による情報伝達機構」という新たな分野を解析する上で重要な端緒となると考え、生化学、計算科学、モデル動物作成の多角的な視点から解析を進めている。FcgRIIB のペア型活性型受容体FcgRIIAのTMD構造機能相関を系統的Cys導入によって解析し、マウス関節炎モデルを作成してペア型受容体間で保存されるGASrightモチーフの重要性を確認した。このモチーフはI232Tに近接しておりモチーフの構造が大きな影響を受ける可能性があり、生化学的な検討からその仮説をほぼ証明しつつある。系統的Cys導入の手法によって、TMD2量体の交差角、近接するアミノ酸残基範囲を制限し、クロスリンク試薬のアーム長から構造を制限して条件を絞り込み、計算科学的な手法でTMD2量体の構造を検討している。シグナルメカニズムでは新たな進展があり、FcgRIIB I232T多型では細胞内ITIMチロシンリン酸を経ない過程において、極めて大きなシグナル差異があることを見出しており、FcgRIIB I232T多型による液性免疫の亢進を説明する可能性がある。もう一つの対象であるmembrane-spanning 4 (MS4) A2(IgE受容体FceRI b鎖)はアレルギー疾患のみならず、他のMS4ファミリー分子がアルツハイマー病に関わることから重要な分子であるが、相互作用、シグナル機構は知られていない。MS4A2を解析する上で必須の材料として、頻用されるラットマスト細胞株RBL2H3からMS4A2をゲノム編集の手法で欠失させた細胞株を複数樹立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SLE関連TMD多型、FcgRIIB I232Tを端緒として検討を開始し、ペア型活性型受容体FcgRIIAのTMD構造機能相関を最初に解析したが、その結果、TMD GASrightモチーフの重要性が見出され、FcgRIIA TMDは表裏の2ヶ所の GASrightモチーフを介してドッキングし、受容体の多量体化の構造基盤となりうること、さらに細胞外側のモチーフはFcgRIIB I232T多型部位に隣接しており、TMD会合に直接の影響を与える可能性があること、が見出され、基礎的、臨床的、創薬の観点から重要な新規知見をもたらす可能性がある。 membrane-spanning 4 (MS4) ファミリーは多彩な疾患に関わる重要なシグナル分子だが、その働き、分子間相互作用は十分に理解されていない。MS4A2には4つのTMDがあり、TMD相互作用の面から興味が保たれる分子である。RBL2H3マスト細胞からMS4A2をゲノム編集の手法で欠失させた細胞株を複数樹立しており、MS4A2 TMDに系統的な変異を導入し、責任部位と接合面の構造決定を行う準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
FcgRIIB、FcgRIIA TMDの2量体構造を生化学的な手法で絞り込み、交差角、近接するアミノ酸残基を制限し、クロスリンク試薬のアーム長から鎖間距離を推定して、計算科学的な手法でTMD2量体の構造を検討しているが、完全な側鎖の配置までには至っていない。数値計算のさらなる精緻化をはかり、候補構造を提出して、さらに生物学的検証を行う。 上述のように、FcgRIIB I232T多型では細胞内ITIMチロシンリン酸を経ない過程において、極めて大きなシグナル伝達の差異があることを見出している。臨床的意義を確認するために、ヒトSLE DNA免疫複合体刺激のシステムを用いて、多型による細胞活性化異常を再現する。MS4A2相互作用においては、ホモロジー検察、モチーフ検索から示された会合候補TMDに系統的に変異を導入し、ゲノム編集で同分子を欠失させたRBL2H3細胞に発現させて、会合責任部位を生化学的に同定する。さらに、接合面の構造決定、治療標的の解明に進む。
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