研究課題/領域番号 |
18K08384
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
本田 善一郎 お茶の水女子大学, 保健管理センター, 特任教授 (70238814)
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研究分担者 |
本田 浩章 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40245064)
由良 敬 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50252226)
市 育代 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (50403316)
河野 肇 帝京大学, 医学部, 教授 (60585074)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 全身性エリテマトーデス / 免疫グロブリンFc受容体 / 膜貫通部位 / 遺伝子多型 / シグナル伝達 / 免疫抑制シグナル |
研究実績の概要 |
2020年度の成果については、保健管理センター医師である申請者が大学における新型コロナウィルス感染症対策の中核的な立場として、すべての発熱症例、感染者接触例、感染例に対してオンライン外来を行い行動制限指示、医療的アドバイスを行うとともに、学内接触者への早期の行動制限、学内接触履歴の聴取、保健所との折衝と濃厚接触者該当の議論を行うなど、組織レベルでの感染者数低減、クラスター形成の防止に日夜携わる必要が生じたため、研究に対するエフォートを確保することが不可能であった。 その中でも、抑制型IgG Fc受容体(FcgR)多型の機能解析では、疾患関連膜貫通多型分子(SLE関連膜貫通部多型)I232Tが、抑制機能が減弱しているのみではなく、通常のITAM経路以外のメカニズムでBリンパ球を逆説的に活性化する可能性を見出し、膜貫通部から発生する細胞活性化メカニズム、疾患に関連するメカニズムを考えるメカニズムの新たな短所を得ている。 もう一つの対象であるmembrane-spanning 4 (MS4) A2(IgE受容体FceRI b鎖)に関しては、遺伝子合成による膜貫通部変異体を作成済みであり、どの膜貫通鎖が2量体化に働くのか、また、MS4分子の膜内2量体化が作用するメカニズムについて、検討する段階に入っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように、全身性エリテマトーデスに関連するFcgRIIB I232T多型の機能解析については、膜内2量体化の新たな意義の提唱を含め、仮説を提唱できる段階に入りつつある。計算科学による分子モデルを提唱しており、モデルを検証するための新たな実験を考案できる段階にある。membrane-spanning 4 (MS4) A2(IgE受容体FceRI b鎖)に関しては、上述の仮説を他の分子で立証する意義があり、アレルギー性疾患の治療標的としての意味も含め、当初の生化学的検証を始めることができる段階に来ている。本来であれば予備的なデータ検証を行っている予定であるが、実験的な検証が行えておらず、仮説の段階にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
FcgRIIB I232T多型の2量体構造、2量体化によるシグナルの変容を、生化学的、構造生物学的な視点から解明し、モデルの正当性を確かめための検討を進める。IgE受容体FceRI b鎖は2量体構造が決定されておらず、まず生化学的、細胞生物学的な検討を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の新型コロナウイルス感染症対策の中核的な立場で全学の感染対策、クラスター対策、すべての発熱者、接触者、観戦者への待機指示、医療アドバイス、学内接触者の情報収集、保健所との濃厚接触者認定に関する折衝を日夜行ったため、研究に対するエフォートが取れず、進展が遅延した。次年度使用分を用いて、当初のFcgRIIB膜貫通部多型のモデル検証、シグナル変容の解明、MS4ファミリー分子2量体形成の検討、疾患における意義の生化学、細胞生物学的検討を、前述のように進める。
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