研究課題
本研究ではFc受容体からの未知の膜貫通シグナルメカニズムとして、静止時の不活性な膜貫通部(TMD)2量体から架橋によって新たな活性型2量体への組み換えが生じ、そこではGAS right motif(Gly Ala等小アミノ酸が3残基ごとに配置しVal Ile等かさ高い疎水性アミノ酸が隣接する配列)の近接が中心的な役割を果たすことを想定する。さらにTMD4(4回膜貫通分子)ファミリーに属する共刺激分子( CD81および Fc(epsilon)R(beta)鎖)が標的分子に作用する際にも同様のTMD近接が生ずることを想定する。このような構造メカニズムを 1)TMD系統的Cys scannningを用いた近接部位マッピング、2) 構造バイオインフォマティクス、3) モデル細胞およびモデルマウスを用いた機能解析の手法で検証する。研究期間中に活性型Fc受容体 Fc(gamma)RIIA TMD GAS right motifを介する架橋依存性2量体構造の機能検証、原子レベルでの2量体構造計算をほぼ終了した(投稿準備中)。研究の端緒となったヒトSLEに関連する抑制型Fc(gamma)RIIB TMD多型の機能解析を進めたところ疾患多型のみがGAS right motifを介して常時2量体化し、逆説的に下流の抗アポトーシスシグナルを活性化していることを見出した。この新たな多型TMD依存性シグナルは多型による疾患感受性を説明する可能性がある(投稿準備中)TMD4ファミリー共刺激分子Fc(epsilon)Rbeta鎖の第1TMDに機能的な GASright会合部位候補を見出しCysスキャンニングによる近接部位マッピングを進めている。ラットマスト細胞株からbeta鎖遺伝子をゲノム編集によって除去した母体細胞を樹立しており、同分子機能解析を進めていく。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 120 ページ: e2206860120
10.1073/pnas.220686012