研究課題/領域番号 |
18K08389
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
劉 爽 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (60403812)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 関節再生能 / 間葉系幹細胞 / 軟骨細胞 / 異種移植モデル |
研究実績の概要 |
本研究は、すでに障害を受けた関節組織の修復・再生に着目し、関節リウマチ(RA)の治療に使用されている合成抗リウマチ薬、生物学的抗リウマチ薬、及び現在開発中の新たな分子標的薬の投与による、ヒト滑膜に局在する間葉系幹細胞(MSC)の多分化能に与える影響を検討する(ex vivo)。今年度中、ヒト滑膜由来MSCを用いて、メトトレキサート、プレドニゾロン、インフリキシマブの投与により、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞への多分化能についてex vivoにて検討した。高濃度のメトトレキサートは、MSCにおける骨芽細胞や軟骨細胞への誘導分化を阻害することが明らかとなった。プレドニゾロンは軟骨細胞の誘導分化に影響はありませんが、骨芽細胞の誘導分化に抑制作用を示した。TNF-α阻害剤nについて比較的安全であり、骨芽細胞と軟骨細胞の誘導分化に明らかの影響を示していない。In vivoにおいて、ヒト型RAモデルを構築するために、疾患活動性の高いRA患者を関節組織(骨・軟骨・滑膜)が必要であり、本学の血液・免疫・感染症内科学講座(長谷川均 准教授)と連携し、道後温泉病院(奥田恭章 医師)などの専門医療機関と地域ネットワークを築いており、検体採取を円滑に行うため研究体制が確立した。今年度中、検体採取例数は2例である。免疫不全マウスに異種移植を行い、移植片の生着と滑膜の軟骨・骨への浸潤を確認し、ヒト型RAモデルの構築が成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画において、研究期間中(3年間)関節リウマチ(RA)治療薬が滑膜間葉系幹細胞(MSC)の多分化能に与える影響(ex vivo)と生体投与により移植MSCの関節修復能に及ぼす影響(in vivo)を総合的に評価する予定であった。評価対象となっている抗RA薬はプレドニゾロン、メトトレキサート、インフリキシマブ、アバタセプト、アダリムマブ、トシリズマブなどである。 2018年度中、プレドニゾロン、メトトレキサート、インフリキシマブをex vivoで評価が完了し、in vivo評価用のヒト型RAモデルの構築にも成功した。研究は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、アバタセプト、アダリムマブ、トシリズマブが間葉系幹細胞(MSC)の多分化能に対する影響のex vivo評価を行う予定である。Ex vivo評価完了後、重点的にヒト型関節リウマチモデルを用いて、抗リウマチ薬剤の生体薬効評価を行い、全身投与によるMSCの自己修復能と関節再生能に与える影響を確認して行きたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
見積と納品価格に差額が生じたため、次年度に消耗品の購入に充当する予定である。
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