研究課題/領域番号 |
18K08392
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
町田 豪 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80583632)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | Marginal zone B細胞 / 抗dsDNA抗体 / ループス腎炎 / MRL/lprマウス |
研究実績の概要 |
本研究は、SLEモデルであるMRL/lprマウスの自己抗体産生、腎炎病態形成における脾臓Marginal zone-B(MZ-B)細胞の役割を明らかにすることを目的としている。平成30年度は、戻し交配によるMb1-Cre Notch2-flox MRL/lprマウスの作成を完了し、B細胞特異的なNotch2欠損による生理学的影響について調べた。さらに、抗dsDNA抗体産生ならびにループス様腎炎病態に対するMZ-B細胞欠損の影響を調べた。 10週齢において脾臓各種細胞のフローサイトメトリー解析を行った結果、目的とするMb1(+/cre)且つNotch2(flox/flox)個体では、MZ-B前駆体細胞ならびにMZ-B細胞の欠損が認められた。同マウスにおける濾胞B細胞、B-1細胞、CD4陽性/CD8陽性T細胞、顆粒球、単球集団の細胞数は野生型と同等であり、本マウスがSLEに対するMZ-B細胞の機能の解析に有用であると考えられた。 10週齢から24週齢まで2週毎に採血を行い、血清中の抗dsDNA抗体価を調べた。野生型・MZ-B細胞欠損型MRL/lprマウス間で、抗dsDNA IgG抗体価に差は認められなかったが、IgMクラスならびにIgG3クラスについては、MZ-B細胞欠損マウスで有意に低値であった。また、同マウスの24週齢における腎を採取して病理染色を行った結果、対象とする野生型マウス(n=4)で2個体に著明な糸球体病変が認められたのに対し、MZ-B細胞欠損マウス(n=2)では病変を認めなかった。以上の結果より、SLEモデルMRL/lprマウスにおいて、MZ-B細胞はIgG3・IgMクラスの自己抗体産生を促進し、本マウスにおけるループス様腎炎の病態形成に関与することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の主題材であるMb1-cre Notch2-flox MRL/lprマウスについて、戻し交配による作製を完了し、目的とするMZ-B細胞の欠損を確認した。さらに、少数であるが、同マウスにおける抗dsDNA抗体価・腎の病理組織学的解析を実施した。平成29年度より、当機関動物飼育施設での大幅な飼育制限が必要とされたため、繁殖に制限が必要であったことから目的個体を十分数得ることができず、本研究の進行はやや遅れている。平成31年度も引き続きMZ-B細胞欠損MRL/lprマウスの解析を実施していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成31年度以降は、MZ-B細胞欠損MRL/lprマウスの解析を完了させると共に、同マウスへの野生型MRL/lprマウスMZ-B細胞の移入実験による再構築実験を実施する。また、メカニズム解明のための研究として、IFNGR1-KO MRL/lprマウスのMZ-B細胞を用いた上記移入実験を実施する。メカニズム解明の研究として後にTLR7-KO、TLR9-KO MRL/lprマウスが必要とされるため、平成31年度にこれらのマウス作成のための戻し交配を実施する。平成30年度の成果と合わせて、これらの成果を学会にて発表する。
|