研究課題
これまで、MRL/lprマウスの自己抗体産生、腎炎病態形成において、脾臓Marginal zone-B(MZ-B)細胞が関与することを示唆する結果を得ている。本年度は、その関与におけるIFN-γ受容体α鎖(IFNGR1)ならびにToll様受容体(TLR)7、TLR9の役割を調べた。野生型およびIFNGR1欠損MRL/lprマウスの脾臓からMZ-B細胞、濾胞B(FO-B)細胞をセルソーターで分離し、IFN-γ、R-848、CpG-ODN1826(それぞれIFNGR1、TLR7、TLR9のリガンド)存在下で培養を行い、培養上清中におけるサイトカイン、抗dsDNA抗体産生パターンを検討した。その結果、MZ-B細胞の培養上清において、FO-B細胞培養上清より極めて高値のIL-10産生、抗dsDNA IgM抗体産生が検出された。しかし、上記2系統間で差は認められず、非自己免疫C57BL/6マウスのMZ-B細胞においても同様または高値な産生が検出された。一方、抗dsDNA IgG抗体産生については、TLR7リガンドの存在下の培養上清において、MRL/lprマウスで高値に検出された。野生型-IFNGR1欠損間では差が得られなかったため、TLR7を介する抗dsDNA抗体産生メカニズムは、IFNGR1欠損MRL/lprマウスで見られる自己抗体産生低下、腎炎病態軽減とは異なるメカニズムであることが示唆された。本研究では、当初目的としたMRL/lprマウスにおけるIFNGR1の役割と独立したメカニズムとして、MZ-B細胞におけるTLR7の関与を示唆する結果を見出した。TLR7の分子自体がSLEに関与することは既報告であるが、今後、MZ-B細胞特異的にTLR7を欠損させる系を確立して自己抗体産生、腎炎病態を解析することで、その役割がより明確になることが考えられる。
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