研究課題/領域番号 |
18K08397
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
田村 直人 順天堂大学, 医学部, 教授 (20227284)
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研究分担者 |
多田 久里守 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70424249)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脊椎関節炎 / 体軸性関節 / 抗RANKL抗体 / 骨新生 / 抗sclerostin抗体 / モデルマウス / 骨粗鬆症 / 治療 |
研究実績の概要 |
体軸性脊椎関節炎は強直性脊椎炎を主たる疾患とし、体軸関節の付着部炎とそれに引き続く骨びらん、およびその後の骨新生を特徴とする慢性炎症性疾患である。靱帯骨化がみらえる一方で、椎体は骨粗鬆症をきたし骨折リスクが増加する。骨粗鬆症に対しては骨吸収を抑制する抗RANKL抗体や骨増殖を促進する抗sclerostin抗体が臨床で投与されているが、体軸性脊椎関節炎の骨病変に対する影響は不明である。これを解明するため、10週齢のSKGマウスにcurdlan(βグルカン)を腹腔内投与した体軸性脊椎関節炎モデルを用いて検討を行った。今回、脊椎の骨化を観察しやすいようcurdlan投与を1回から0,2週の2回に変更した。抗RANKL抗体1mg/kgをcurdlan投与0週に1回、抗sclerostin抗体は5mg/kgを0週および4週に腹腔内投与した。観察期間を8週から12週に延長した。末梢関節炎はほとんどの個体で肉眼的にみとめられた。安楽死させたのち、脊椎病変の組織をH-E、アリザリン・レッドSおよびアリシアン・ブルーにて染色し、病理学的スコアリングを行い、コントロールIgGを投与した群と比較検討を行った。いすれの抗体投与によっても、骨のびらん性病変は軽度抑制されており、骨化の増強もみられなかった。 骨代謝マーカー、IL-17やTNFなどの炎症性サイトカインの測定を行ったが測定値にばらつきが強かったため、再検査およびその解析予定である。いずれにせよ、本研究より体軸性脊椎関節炎において骨新生を増強することなく骨粗鬆症治療に抗RANKL抗体や抗sclerostin抗体を使用できる可能性が示唆され、これからの臨床研究に結び付く有意義な結果が得られたと考えらえる。本研究については学会未報告であるため、今後、得られたデータを追加して、日本脊椎関節炎学会、日本リウマチ学会で報告し、論文作成を予定している。
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