研究課題
これまでに申請者らは、ヒト白血球抗原(HLA)のアレルHLA-DRB1*13:02が関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、抗好中球細胞質抗体関連血管炎の発症に共通して抑制的に関連することを、日本人集団での関連解析で明らかにしてきた。さらに、DRB1*13:02は自己免疫性肝炎の発症にも抑制的に関連し、成人発症スティル病の発症にも抑制的に関連する傾向があった。これらの疾患で、DRB1*13:02は疾患感受性アレルに対して優性に働いていた。そこで本研究では、膠原病類縁疾患である混合性結合組織病およびリウマチ性多発筋痛症でもDRB1*13:02が抑制的に関連するかどうかを検証する。これまでに本課題は17施設の倫理委員会によって承認されているが、検体の収集はやや遅れている。上記の結果も踏まえて、全身性エリテマトーデスモデルマウスMRL/Mp.FaslprでDRB1*13:02トランスジェニックマウスを作成して、HLA-DR13分子が膠原病の発症を抑制することを証明する。全身性エリテマトーデスの病態形成に重要な役割を果たしている細胞群・分子・遺伝子等の側面から膠原病の発症抑制の機序に迫る。Tgマウスの作成を3度行った。242匹のマウスが得られたが、そのうち遺伝子導入の確認できた個体が11匹であった。生き残ったマウスが9匹であったが、蛋白を発現しているマウスは0匹であった。MRL系統でTgマウスを作成するのは困難であることが知られており、得られるマウスの数が少ないことや、蛋白発現に問題を起こしやすい系統である可能性もなるため、C57BL/6系統でTgマウスの再作成を行うことを計画している。
3: やや遅れている
検体の収集はやや遅れている。Tgマウスの作成を3度行ったにもかかわらず、蛋白を発現しているマウスは0匹であり、Tgマウスの作成も遅れている。
これまでの筋炎の解析により、 DRB1*13:02は筋炎の発症には抑制的に関連しているとは言えなかった。今後は混合性結合組織病およびリウマチ性多発筋痛症の症例の検体をさらに収集し、収集したゲノムDNA検体のHLAのタイピングを行い、関連解析を行う予定である。また、C57BL/6系統でTgマウスの再作成を行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
Mod Rheumatol.
巻: in press ページ: in press
10.1080/14397595.2018.1514999.
PLOS ONE
巻: 13 ページ: e0204459.
10.1371/journal.pone.0204459.