膠原病の発症を抑制する共通HLAアレル「DRB1*13:02」の作用機序の解明

2020 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 18K08402
• 研究機関: 独立行政法人国立病院機構東京病院(臨床研究部)
• 研究代表者: 古川 宏 独立行政法人国立病院機構東京病院(臨床研究部), 臨床研究部, 臨床研究部長 (00372293)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: 病因・病態 / HLA / 遺伝子解析

研究実績の概要

これまでに申請者らは、ヒト白血球抗原(HLA)のアレルHLA-DRB1*13:02が関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、抗好中球細胞質抗体関連血管炎の発症に共通して抑制的に関連することを、日本人集団での関連解析で明らかにしてきた。さらに、DRB1*13:02は自己免疫性肝炎、成人発症スティル病の発症にも抑制的に関連する傾向があった。本研究では、膠原病類縁疾患である混合性結合組織病(MCTD)およびリウマチ性多発筋痛症(PMR)でもDRB1*13:02が抑制的に関連するかどうかを検証した。MCTDの発症にDRB1*04:01が正の関連を示した一方、DRB1*13:02 は負の関連を示した。PMRの発症にDRB1*04:01とDRB1*04:05が正の関連を示した一方、DR6(DRB1*13, DRB1*14)は負の関連を示した。
DRB1*13:02トランスジェニックマウスを作成して、HLA-DR13分子が膠原病の発症を抑制することを証明することを試みた。SLEモデルマウスMRL/Mp.FaslprでDRB1*13:02トランスジェニックマウスを作成しようとしたが、蛋白を発現しているマウスは得られなかった。そこで、Tgマウスの作成をC57BL/6系統で行ったところ、Tgマウスの作成に成功した。このTgマウスで、Pristane誘導SLEモデルを作成した。ところが、SLE様症状が出現する以前にすべてのマウスが死んでしまい、解析をすることができなかった。

研究成果

• [雑誌論文] Genetic risk factors for autoimmune hepatitis: implications for phenotypic heterogeneity and biomarkers for drug response. (2021)
  • 著者名/発表者名: Higuchi T, Oka S, Furukawa H, Tohma S, Yatsuhashi H, Migita K.
  • 雑誌名: Hum Genomics 巻: 15 ページ: 6
  • DOI: 10.1186/s40246-020-00301-4
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] The attenuation of insulin-like growth factor signaling may be responsible for relative reduction in matrix synthesis in degenerated areas of osteoarthritic cartilage. (2021)
  • 著者名/発表者名: Tanaka N, Tsuno H, Ohashi S, Iwasawa M, Furukawa H, Kato T, Fukui N.
  • 雑誌名: BMC Musculoskelet Disord. 巻: 22 ページ: 231
  • DOI: 10.1186/s12891-021-04096-w
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Serum metabolomic profiling in rheumatoid arthritis patients with interstitial lung disease: a case-control study. (2020)
  • 著者名/発表者名: Furukawa H, Oka S, Shimada K, Okamoto A, Hashimoto A, Komiya A, Saisho K, Yoshikawa N, Katayama M, Matsui T, Fukui N, Migita K, Tohma S.
  • 雑誌名: Front Med (Lausanne). 巻: 7 ページ: 599794
  • DOI: 10.3389/fmed.2020.599794
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Association of functional (GA)n microsatellite polymorphism in the FLI1 gene with susceptibility to human systemic sclerosis. (2020)
  • 著者名/発表者名: Yamashita K, Kawasaki A, Matsushita T, Furukawa H, Kondo Y, Okiyama N, Nagaoka S, Shimada K, Sugii S, Katayama M, Hirohata H, Okamoto A, Chiba N, Suematsu E, Setoguchi K, Migita K, Sumida T, Tohma S, Hasegawa M, Hamaguchi Y, Sato S, Kawaguchi Y, Takehara K, *Tsuchiya N.
  • 雑誌名: Rheumatology (Oxford). 巻: 59 ページ: 3553-3562.
  • DOI: 10.1093/rheumatology/keaa306
  • 査読あり
• [学会発表] 関節リウマチ関連間質性肺病変に関連する自己抗体 (2020)
  • 著者名/発表者名: 岡笑美,古川宏,島田浩太 岡本享,橋本篤,小宮明子,税所幸一郎,吉川教恵,片山雅夫,松井利浩,福井尚志,右田清志 當間重人:
  • 学会等名: 第74回国立病院総合医学会
• [学会発表] 変形性関節症における滑膜病変 (2020)
  • 著者名/発表者名: 福井尚志,田中伸帆津野宏隆,大橋暁,岩澤三康,古川宏:
  • 学会等名: 第64回日本リウマチ学会
• [学会発表] リウマチ関連リンパ増殖性疾患の多施設共同研究による病理学的解析 (2020)
  • 著者名/発表者名: 星田義彦,大島至郎,佐伯行彦,宮村知也,片山雅夫,大島久二,比嘉慎二,吉川教恵,満尾晶子,岡本享,千葉実行,八木田正人,角田慎一郎,杉山隆夫,井畑淳,長岡章平,吉原良祐,瀬戸口京吾,松井聖,市川健司,古川宏,當間重人:
  • 学会等名: 第64回日本リウマチ学会
• [学会発表] 関節リウマチ関連間質性肺病変に関連する自己抗体 (2020)
  • 著者名/発表者名: 岡笑美,古川宏,島田浩太 岡本享,橋本篤,小宮明子,税所幸一郎,吉川教恵,片山雅夫,松井利浩,福井尚志,右田清志,當間重人
  • 学会等名: 第64回日本リウマチ学会