研究課題
A)新規バイオマーカ―になり得る血清cit-ITIH4定量のELISAキット開発リコンビナントITIH4を作成し、そのシトルリン化に成功した。また、対象蛋白としてリコンビナントフィブリノーゲンを作成した。シトルリン化ITIH4全長蛋白、及びR438をシトルリン化(R438Cit)した15merのペプチドに対するモノクローナル抗体を樹立した。現在、ポリクローナルITIH4抗体とともにsandwich ELISAシステムを構築中で、患者血清サンプルでの定量システムを検討中である。B)Cit-ITIH4の産生経路と病因的意義Cit-ITIH4は関節炎モデル及びRAで血清中の最も量が多いシトルリン化蛋白と考えられるが、マウス及びヒト関節炎局所において、血清より高い濃度で存在することが判明した。局所滑液中の好中球はPAD4酵素を末梢血や骨髄よりも豊富に貯留し、マウスで好中球を抗体で欠失させると関節炎、及び末梢のcit-ITIH4が著減することが判明した。また、A)で作成したリコンビナントITIH4とそのシトルリン化蛋白を健常人ヒト血清と一緒にチャンバー上に挿入して比較したところ、好中球の遊走性がcit-ITIH4で明らかに高くなることが判明した。この現象は対象蛋白であるフィブリノーゲンでは認められず、ITIH4自体が好中球の遊走経路にかかわることが判明した。現在ヒト血清中のITIH4との接着物を補体経路を中心に解析中である。
2: おおむね順調に進展している
リコンビナントITIH4を作成し、そのシトルリン化、対象蛋白としてリコンビナントフィブリノーゲン及びシトルリン化ITIH4全長蛋白、及びR438をシトルリン化(R438Cit)した15merのペプチドに対するモノクローナル抗体を樹立済みであり、sandwich ELISAシステムでの検出を進めるのみとなっている。また、cit-ITIH4がマウス及びヒト関節炎局所において、血清より高い濃度で存在することが判明しており、動物モデルでの詳細な局所でのシトルリン化メカニズムを解析する段階まで進んでおり、現在論文投稿を準備中である。
ELISAシステムの構築に関しては、企業とも共同研究を進めており、ヒト血清サンプルは十分保持しているので、今後検定がうまくいけば、血清自己抗体陰性の関節リウマチ患者や乾癬性関節炎患者など、診断が難しい患者群の検討を進め、診療体系が進むことが期待される。また関節局所でのシトルリン化メカニズムを明らかにすることにより、それを予防・防止する治療戦略を立てていきたい。
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