研究課題/領域番号 |
18K08404
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
齋藤 悠 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (80447268)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アレルギー / 気管支喘息 |
研究実績の概要 |
ハウスダストマイト(HDM;House dust mite)は含有するプロテアーゼにより、気道上皮細胞を直接傷害し、バリア機能を破綻させ、免疫反応の連鎖を惹起することで気管支喘息の発症を誘導する。このような気道炎症下では、気道上皮細胞自身の破壊、細胞呼吸、乳酸産生によってプロトン(H+)が産生され、炎症局所の酸性化が進む。この酸性環境が気道炎症を増悪すると考えられているが、その詳細な分子機構は不明である。これまで、申請者らはプロトンを感知するG蛋白質共役受容体OGR1 ; Ovarian cancer Gprotein coupled Receptor 1を同定し、気道上皮細胞に高発現することを発見している。本研究ではOGR1が酸性環境である気道炎症下で喘息の発症、進展にどのように関わっているのかを作成したOGR1欠損マウスを用いて追究し、気管支喘息における新規標的としてのOGR1の可能性を評価する。 気道上皮細胞を直接傷害するハウスダストマイト(house dust mite: HDM)懸濁液を麻酔下でマウスに点鼻し、(day0-2,day14-17)気管支喘息モデルを作成した。野生型マウスでは肺胞洗浄液中の好酸球、リンパ球、好中球の増多を認めたが、OGR1欠損マウスでは野生型マウスと比較すると、肺胞洗浄液中の総細胞数、好酸球数の有意な減少をきたした。 さらに肺胞洗浄液中のサイトカインを蛋白レベルで測定すると気管支喘息において重要な役割を果たすTh2系サイトカインの産生抑制を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HDM投与気管支喘息モデルの組織的解析ができていない。 OGR1 antagonistを用いた解析を予定していたが、入手できていないため、解析が滞っている。
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今後の研究の推進方策 |
HDM投与気管支喘息モデルの組織的解析を進める。さらに気管支肺胞洗浄液中のIL-33,IL-25,TSLPなど気道上皮細胞から産生されるサイトカインをELISA法により評価する。 HE組織染、PAS染色による気道炎症や杯細胞増生の評価を行い、OGR1欠損効果を確認する。 OGR1 antagonistを入手する、もしくは別の方法で受容体の機能解析を進める。 これらの結果から気道上皮細胞に発現するOGR1の機能についての詳細を明らかにする手がかりをみつける。
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