関節リウマチ(RA)は近年の治療法では、無効例や効果減弱例が見られることや医療費が高額なことが問題となっている。われわれはラットアジュバンド関節炎モデルを用いてmiR-124前駆体を右踵関節局所に投与した結果、全身の関節炎や骨破壊を抑制することを見出した。しかし、局所投与にもかかわらず全身の関節炎や骨破壊を抑制した機序は不明である。 エクソソームは蛋白やマイクロRNAを内包する細胞間コミュニケーション物質である。本研究はRA滑膜細胞などから分泌されるエクソソームを調べることにより、エクソソームのRAの病態における役割を明らかにし、RA の新たな治療法や検査法の開発を目的としている。 RA患者滑膜細胞(RA-FLS)、miR-124 高発現RA患者滑膜細胞(RA-miR124-FLS)および変形性関節症(OA)患者滑膜細胞(OA-FLS)から分泌されるエクソソームを網羅的に解析した結果、RA-FLSから分泌されるエクソソームはRA-miR124-FLSやOA-FLSから分泌されるエクソソームと比較して細胞の遊走を高める蛋白が多く含まれることが明らかになった。これらのエクソソームをマクロファージに作用させた結果、RA-FLSエクソソームは有意にマクロファージの遊走性を高めた。さらにRA-FLSエクソソームに多く含まれる蛋白の発現を抑制したRA-FLSから分泌されるエクソソームはマクロファージの遊走を抑制し、RA-miR124-FLSエクソソームやOA-FLSエクソソームに多く含まれる蛋白の発現を抑制したOA-FLSから分泌されるエクソソームはマクロファージの遊走を促進させた。 これらより、RA-FLSから分泌されるエクソソームは細胞の遊走を高めることにより関節リウマチの病態に関与し、RA-miR124-FLSはそれを抑制することが示唆された。
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