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2018 年度 実施状況報告書

時計遺伝子Bmal1を標的とした関節リウマチ時間生物学療法の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 18K08408
研究機関神戸大学

研究代表者

柱本 照  神戸大学, 保健学研究科, 教授 (80346246)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード関節リウマチ / 時計遺伝子
研究実績の概要

1.関節リウマチ滑膜細胞(RA-FLS)に対して、RORα阻害剤SR1001、REV-ERBα促進剤GSK4112 、 CBP/p300阻害剤C646で前処理の後、TNFαで刺激した。同様に、RNA干渉を用いて滑膜細胞のCBPとp300遺伝子の発現を抑制し、TNFαで刺激した。その後、各群の細胞内CCL2 mRNA発現量(qPCR法)と培養上清CCL2(ELISA法) を定量した。その結果、TNFα誘導性CCL2発現は、SR1001/ GSK4112両剤の同時処理によって抑制された。同様に、C646処理群やCBP/p300発現を抑制した群においてもTNFα刺激によるCCL2発現増加は抑制された。これによって、RA滑膜細胞におけるTNFα誘導性CCL2発現増加は、転写因子RORα/REV-ERBαとヒストンアセチル化酵素CBP/p300を介していることが示唆された。
2.RA-FLSにBmal1 siRNAを導入後、50 %ウマ血清DMEMを用いて時計遺伝子発現を同期した。さらに無血清DMEM培養下に32 時間まで経時的にRNA抽出を行い、定量PCR法を用いて細胞周期調節因子CyclinE1の発現量を測定した。また時計遺伝子発現の同期後、RA-FLS を10 %FCS/ DMEMで培養し、WST-8法を用いて32 時間まで経時的に細胞増殖活性を測定した。その結果、Bmal1抑制下では、CyclinE1の発現量は8時間以降有意に低下した。また、細胞増殖活性は24時間以降に減少傾向を示した。CyclinE1の転写領域にはBmal1が制御するE-box類似配列が存在することから、Bmal1抑制下でCyclinE1発現量が減少し、細胞増殖活性が低下傾向を示したことは、時計遺伝子と細胞周期調節因子を介した、新たなRA-FLS増殖制御の可能性を示唆するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通りRORα阻害剤SR1001、REV-ERBα促進剤GSK4112、CBP/p300阻害剤C646を用いた検証と、RNA干渉による対比実験を行い、TNFα誘導性CCL2発現の機序探索に一定の目途を立てることができた。また、RA-FLSの増殖に直接的に関与すると我々が考えるBmal1遺伝子についても、その制御機構に、細胞周期調節因子の視点からアプローチを開始することができた。ともにRORE配列を起点とした転写機構に則った機序が共通しており、当初立案した実験計画が妥当であった点も同時に確認できており、今後の実験遂行についても期待が持てるものとなった。

今後の研究の推進方策

1.、RORα阻害剤SR1001、REV-ERBα促進剤GSK4112がが、CCL2以外の炎症性メディエーター(TNFα、IFN-g、IL-1、IL-6、IL-17、IL-23)産生に与える影響をRA-FLSから得たRNAを用いたリアルタイムPCR法と、培養上清を用いたELISA法で評価する。
2.RA-FLSが病的パンヌスを形成する要件となるRA-FLS遊走能の亢進状態を検証するため、上記アンタゴニスト・アゴニストを用いて、培養滑膜細胞のトランスウェルアッセイ(Cell MigrationAssay Oris Pro:Platypus Technology社)を行う。同時に、滑膜細胞アクチン繊維束の集光顕微鏡下で観察し、Rhoファミリー蛋白群の発現変化をウェスタンブロット法で検討する。
3.ReverbαsiRNAをRA-FLSに導入し、ROREを介した転写抑制が失効した状態でBmal1また前述の炎症性メディエーター発現が亢進するかをリアルタイムPCR法とELISA法により検討する。この対照実験としてRorα遺伝子発現ベクターをRA-FLSに導入し、RORE転写亢進状態でのBmal1 また炎症性メディエーター発現への影響を①③と同様の手法により検討する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Methotrexate upregulates circadian transcriptional factors PAR bZIP to induce apoptosis on rheumatoid arthritis synovial fibroblasts.2018

    • 著者名/発表者名
      Suzuki K, Yoshida K, Ueha T, Kaneshiro K, Nakai A, Hashimoto N, Uchida K, Hashimoto T, Kawasaki Y, Shibanuma N, Nakagawa N, Sakai Y, Hashiramoto A.
    • 雑誌名

      Arthritis Res Ther.

      巻: 20 ページ: 55-64

    • DOI

      10.1186/s13075-018-1552-9.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] TNF-α induces expression of the circadian clock gene Bmal1 via dual calcium-dependent pathways in rheumatoid synovial cells.2018

    • 著者名/発表者名
      Yoshida K, Nakai A, Kaneshiro K, Hashimoto N, Suzuki K, Uchida K, Hashimoto T, Kawasaki Y, Tateishi K, Nakagawa N, Shibanuma N, Sakai Y, Hashiramoto A.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun.

      巻: 495 ページ: 1670-85

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2017.12.015.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A variant of death-receptor 3 associated with rheumatoid arthritis interferes with apoptosis-induction of T cell.2018

    • 著者名/発表者名
      Hashiramoto A, Konishi Y, Murayama K, Kawasaki H, Yoshida K, Tsumiyama K, Tanaka K, Mizuhara M, Shiotsuki T, Kitamura H, Komai K, Kimura T, Yagita H, Shiozawa K, Shiozawa S.
    • 雑誌名

      J Biol Chem

      巻: 293 ページ: 1933-43

    • DOI

      10.1074/jbc.M117.798884.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 時計遺伝子Bmal1は細胞周期調節因子を介して関節リウマチ滑膜細胞の増殖能を制御する2018

    • 著者名/発表者名
      内田京、吉田幸祐、金城健太、中井綾子、鈴木行人、橋本哲平、川崎善子、立石耕司、寺島康浩、中川夏子、柴沼均、酒井良忠、柱本照
    • 学会等名
      第62回日本リウマチ学会(東京)
  • [学会発表] TNF-αはc-Mycを介してリウマチ滑膜細胞のp27Kip発現を変化させる2018

    • 著者名/発表者名
      金城健太、吉田幸祐、中井綾子、鈴木行人、内田京、橋本哲平、川崎善子、立石耕司、寺島康浩、中川夏子、柴沼均、酒井良忠、柱本照
    • 学会等名
      第62回日本リウマチ学会(東京)
  • [学会発表] IL-6とTNFaは細胞周期調節因子を介して協調的に滑膜細胞増殖に関与する2018

    • 著者名/発表者名
      金城健太、吉田幸祐、中井綾子、鈴木行人、内田京、橋本哲平、川崎善子、立石耕司、寺島康浩、中川夏子、柴沼均、酒井良忠、柱本照
    • 学会等名
      第62回日本リウマチ学会(東京)
  • [学会発表] IL-6は時計遺伝子を介して滑膜細胞に細胞死抵抗性をもたらす2018

    • 著者名/発表者名
      鈴木行人、吉田幸祐、金城健太、中井綾子、内田京、橋本哲平、川崎善子、立石耕司、寺島康浩、中川夏子、柴沼均、酒井良忠、柱本照
    • 学会等名
      第62回日本リウマチ学会(東京)
  • [学会発表] IL-6 and TNF-a cooperate to modulate Cell Cycle of RA-FLS via Cyclin Dependent Kinase 6.2018

    • 著者名/発表者名
      K. Kaneshiro, K. Yoshida, A. K. Uchida, T. Hashimoto, Y. Kawasaki, N. Tateishi, N. Terashima Y, Shibanuma, Y. Sakai, A. Hashiramoto.
    • 学会等名
      2018ACR/ARHP Annual Meeting (Chicago)
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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