研究実績の概要 |
本年度は、新規のサイトカイン産生性エフェクターB細胞(Beff)であるGM-CSF産生Beffに着目して研究を進めた。 (1)フローサイトメトリーにて純化したヒト末梢血switched memory B細胞を用い、抗原受容体/共刺激 (BCR/CD40L)に加えCD4+T細胞サブセット(Th1, Th2, Th17, Tfh)の特徴とされるサイトカイン(IFNγ, IL-4, IL-17, IL-21)併存下にてB細胞のサイトカイン発現を評価した。その結果、Th2サイトカインIL-4の併存下にてB細胞のGM-CSF産生が特徴的に増加することをmRNAレベル(real-time PCR)ならびに蛋白レベル(intracellular staining、ELISA)にて確認した。ヒト末梢血のTfhはIFNγ, IL-4, IL-17をIL-21と同時に発現するTfh1, Tfh2, Tfh17サブセットにさらに分類可能とされるが、IL-21自体はGM-CSF産生Beffを誘導できないが、Tfh2条件下では誘導可能であることをmRNAならびに蛋白レベルにて確認した。ただ、GM-CSF産生Beffの誘導レベルは Th2>Tfh2条件下であった。 (2)ヒトGM-CSF産生BeffがGM-CSF以外に特徴的なサイトカインを産生しないか検討した結果、IL-6も強力に発現することが判明した。IL-13はIL-4と受容体を共有するTh2サイトカインとして重要である。IL-13もIL-4と同様にGM-CSF産生Beffを誘導することをmRNAならびに蛋白レベルにて確認した。加えて、Th2サイトカインは組織修復として線維化にも深く関与するとされているため、線維化サイトカインTGFβのGM-CSF産生Beffへの効果について検討を行った。その結果、TGFβはIL-4やIL-13に共同してGM-CSF産生Beffの誘導を増強することがmRNAならびに蛋白レベルにて判明した。
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