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2018 年度 実施状況報告書

経皮抗原曝露における炎症・感作の分子機序

研究課題

研究課題/領域番号 18K08417
研究機関順天堂大学

研究代表者

高井 敏朗  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70338375)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード経皮感作 / アレルギーマーチ / マウスモデル / プロテアーゼアレルゲン
研究実績の概要

ダニ・花粉・黄色ブドウ球菌はプロテアーゼを生産・含有し、獲得免疫を介さずに上皮および皮膚バリアを破壊するとともに種々の細胞を刺激・活性化することによって、炎症惹起と獲得免疫の成立を促進する。経皮的なアレルゲン感作はアトピー性皮膚炎のみならず喘息・鼻炎などの他のアレルギー疾患の成立にも重要である。先行研究において申請者はプロテアーゼ抗原を皮膚表面へ塗布する新規マウスモデルを独自に構築し、皮膚炎症・感作がプロテアーゼ活性依存的に促進されることをはじめて報告している。本研究では、申請者の構築した複数の経皮感作モデルを解析することによって、プロテアーゼ抗原による皮膚刺激がどのような機序で皮膚炎・経皮感作、そして経皮感作成立後の気道アレルギー発症を促進するのかを解明するとともに、より効果的かつ安全な予防・先制医療・治療のための新規標的を同定することを目的としている。本年度の研究実績は以下のとおりである。
(1)経皮感作相について、薬剤投与あるいは遺伝子欠損による促進・抑制の現象を見いだした。引き続き解析を進めている。
(2)経皮感作後の気道アレルギー発症の効果相: 経皮感作成立後のプロテアーゼ抗原吸入により好酸球性気道炎症を発症するモデルを構築・解析した。このモデルでは少量の抗原吸入で発症が誘導された。このモデルを利用し、効果相において吸入する抗原のプロテアーゼ活性が発症にcriticalであることをはじめて明らかにした。また、効果相におけるIL-33受容体 (ST2) 陽性の抗原特異的Th2細胞の重要性を示唆する結果を得た。抗原由来プロテアーゼ活性依存的に効果相組織から放出・活性化されるIL-33と、抗原特異的TCRによって認識される抗原アミノ酸配列構造、その両者の共在がST2陽性抗原特異的Th2細胞を相乗的に活性化する。引き続き解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

個々の実験の全てが当初の予期通りの結果となるとは限らないことを予め織り込んで、複数のモデルを構築して多方面から解析している。実施した実験のいくつかで着実な進捗をみることができた。よって、全体として順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

経皮感作相について、促進・抑制の現象を見いだしており、機序の解析を進めている。また、経皮感作、および経皮感作後の炎症効果相、それぞれの機序について解析を進めている。

次年度使用額が生じた理由

実験計画の都合により一部の試薬等の購入を先送りし、また一部の学会参加を見送った。残額は次年度に有効活用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] アレルゲンのアジュバント作用2019

    • 著者名/発表者名
      高井敏朗
    • 雑誌名

      日本職業・環境アレルギー学会雑誌

      巻: 26 ページ: 1-8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cyclooxygenase inhibition in mice hightens adaptive-and innate-type responses against inhaled protease allergen and IL-332019

    • 著者名/発表者名
      Maruyama N, Takai T, Kamijo S, Suchiva P, Takeshige T, Suzuki M, Hara M, Matsuno K, Harada S, Narada N, Nakae S, Sudo K, Okuno T, Yokomizo T, Ogawa H, Okumura K, Ikeda S.
    • 雑誌名

      Allergy

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ダニの関与2019

    • 著者名/発表者名
      高井敏朗
    • 雑誌名

      皮膚科の臨床 臨時増刊「変わりつつあるアトピー性皮膚炎の常識-最新の知識と治療の極意-」

      巻: 60 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] Airway inflammation after epicutaneous sensitization of mice requires protease activity of low-dose allergen inhalation2018

    • 著者名/発表者名
      Nishioka I, Takai T, Maruyama N, Kamijo S, Suchiva P, Suzuki M, Kunimine S, Ochi H, Shimura S, Sudo K, Ogawa H, Okumura K, Ikeda S.
    • 雑誌名

      Journal of Allergy and Clinical Immunology

      巻: 141 ページ: 2271~2273.e7

    • DOI

      10.1016/j.jaci.2017.11.035

    • 査読あり
  • [学会発表] アレルゲンはなぜアレルゲンになるのか2018

    • 著者名/発表者名
      高井敏朗
    • 学会等名
      第49回 日本職業・環境アレルギー学会総会・学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 皮膚の界面活性剤処理はテープストリッピングと異なる様式でプロテアーゼ抗原に対する経皮感作を促進する2018

    • 著者名/発表者名
      高井敏朗、越智啓乃、清村咲子、丸山奈津子、西岡いずみ、上條清嗣、飯田秀雄、中江進、小川秀興、池田志斈、奧村康
    • 学会等名
      第67回日本アレルギー学会学術集会
  • [学会発表] Airway inflammation after epicutaneous sensitization requires protease activity of low-dose allergen inhalation2018

    • 著者名/発表者名
      Kamijo S, Suchiva P, Ogawa H, Ikeda S, Okumura K, Takai T
    • 学会等名
      第46回日本免疫学会学術集会

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公開日: 2019-12-27  

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