研究実績の概要 |
関節リウマチ(RA)の治療には炎症の制御と骨破壊の制御が重要である。Interleukin(IL)-34はColony-Stimulating Factor-1 Receptor (CSF-1R)の第2のリガンドとして発見された慢性炎症と骨吸収に関与するサイトカインである。IL-34のRAの病態における役割を明らかにする目的で実験を行なった。RAおよび変形性関節症(OA)患者血清およびRA滑膜細胞を用いた。各種サイトカインをELISA法で測定した。CSF-1Rの発現は免疫組織染色で検討した。血清IL-34はOAに比べRAで有意に増加していた(RA;13.0±23.1,OA; 0.3±0.3 pg/ml, p<0.05)。RA初代滑膜細胞の培養上清で自発的にIL-34の産生を認めた。RA線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)はIL-1,TNFα刺激でIL-34を産生した。RAFLS はIL-34の受容体であるCSF-1Rを発現していた。RAFLSはIL-34刺激でIL-6を産生した。IL-1で刺激したRAFLS から産生されるIL-6は抗IL-34抗体, 抗CSF-1R抗体で抑制された。RA患者ではIL-34産生が亢進しており、滑膜病変でIL-34が産生され、病態形成に関与していることを明らかにした。IL-34はRAの新たな治療標的となる可能性が示唆された。 さらに本研究者はRA滑膜の病態形成にプロラクチンが関与していることを報告している(J Rheumatol. 1999, 26(9):1890-1900.)。滑膜細胞にIL-34を添加すると培養上清中のプロラクチン産生の増加が認められた。これまでIL-34とプロラクチンの関連の報告はなく、今後さらに検討を重ねたい。
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