気管支喘息の組織リモデリングに重要な役割を果たすM2a型マクロファージの分化に必須のサイトカインであるmacrophage-colony-stimulating factor(M-CSF)を好酸球が産生することを見いだした。すなわち、ヒト末梢血(n=11)から分離した好酸球はmembrane-bound isoformとsecretion isoformのM-CSFのmRNAを恒常的に発現しており、GM-CSFやIL-5、固相化したsecretory IgA(sIgA)の刺激によってmRNAの発現は有意に増強された。一方、platelet-activation factorやeotaxin 1の刺激ではmRNAの発現は変化しなかった。好酸球刺激後の上清中にはsIgA刺激でM-CSFの産生放出が確認された。一方、IL-5やGM-CSF刺激では上清にはM-CSFの放出は認められず、細胞の破砕物中のM-CSF濃度が上昇した。また、Flow cytometryとConfocal microscopeを用いて、細胞内のM-CSFの局在を検討したところ、非刺激時には細胞膜を透過処理していない好酸球ではM-CSFは染まらず、細胞を固定し細胞膜を透過処理すると染色され、その局在は顆粒に一致していた。また、GM-CSF刺激48時間後(脱顆粒によって細胞膜と顆粒膜が癒合する)には、細胞膜透過処理していない細胞表面にM-CSFが検出され、細胞膜透過処理をしても蛍光強度は変化しなかった。また、Confocal microscopeで顆粒膜に一致した部位にM-CSFが染色された。このことから、GM-CSF刺激刺激ではmembrane-bound isoformの顆粒膜への発現が強く誘導され、脱顆粒によって顆粒膜が細胞膜と癒合して細胞表面に発現すると考えられた。 共同研究によって採取された気管支喘息患者18名および対照疾患患者23名の気管支肺胞洗浄液中のM-CSF濃度と好酸球顆粒タンパクであるEDN濃度を測定したところ、M-SCFとEDN間には有意な相関が認められ、疾患局所においても好酸球の活性化がM-CSF産生亢進に関与する可能性が示唆された。 以上の結果は当初の研究計画通りの進捗であり、結果を現在英文誌に投稿中である。
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