メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、1970年代に出現した多剤耐性菌であるが、未だ克服されていない。本課題では、遺伝子情報に着目し、感染症に及ぼす影響について検討した。MRSAの網羅的遺伝子解析を行い、その変異と、感染症の臨床病態を評価した。その結果、接着・バイオフィルム関連の遺伝子領域に変異を持つ株は、有意に血流感染症を増加させること、接着・バイオフィルム関連の遺伝子発現の制御物質は、新規の感染予防薬となり得ることを明らかにした。さらに、最近増加している市中感染株の薬剤耐性と遺伝子変異の関与を報告した。これらの結果は、細菌の遺伝子情報が感染症の病態に深く関与していることを示していた。
|