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2018 年度 実施状況報告書

メタロβ-ラクタマーゼを標的とした細菌感染症治療補助剤の開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K08430
研究機関名古屋大学

研究代表者

和知野 純一  名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (00535651)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードメタロ-β-ラクタマーゼ / 阻害剤 / カルバペネム耐性
研究実績の概要

今年度は、メタロ-β-ラクタマーゼ6種類(IMP-1、NDM-1、VIM-2、SFH-1、SMB-1、L1)を対象に、阻害剤8種類の阻害効果を検討した。簡易的にIC50値を測定したところ、いずれの阻害剤もサブクラスB1 メタロ-β-ラクタマーゼ(IMP-1、NDM-1、VIM-2)に阻害効果を示したものの、他のB2やB3 メタロ-β-ラクタマーゼには阻害効果を示さなかった。また、TLA-3、CMY-2、OXA-48といったセリン型β-ラクタマーゼに対しても阻害効果を示さなかった。したがって、作製した一連の阻害剤群はサブクラスB1 メタロ-β-ラクタマーゼ特異的な阻害剤であると考えられた。IMP-1に対するKi値は0.22-34.1 uM、NDM-1に対するKi値は0.18-34.1 uM、VIM-2に対するKi値は0.02-20.8 uMであった。これらの阻害剤を添加した場合のメタロ-β-ラクタマーゼ産生大腸菌に対する最小発育阻止濃度値(MIC値)の変動は、概ねKi値の変動で裏付けられるものであったが、一部乖離が見られたものもあった。それは、化合物の構造改変によりIMP-1酵素に対する阻害親和性が失われたにも関わらず、IMP-1産生菌に対する阻害効果が保たれた現象を指す。乖離の原因を明らかにするため、LC-MS/MSを用い、菌体内に取り込まれた阻害剤の定量を行った。その結果、阻害剤の種類によって、菌体内に取り込まれる量に差が生じることがわかった。MIC値の変動は、対象とした阻害剤の酵素学的な阻害効果と菌体への流入量という2つのファクターに影響を受ける。したがって、今後、阻害剤を改変する際には、両者のファクターを加味する必要があるものと考えれらた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度は、作製した各種阻害剤を用い、メタロ-β-ラクタマーゼに対する酵素学的阻害効果とメタロ-β-ラクタマーゼ産生菌に対する生物学的阻害効果を検証することを目標とした。年度内に予定していた実験の全てを終了することができた。

今後の研究の推進方策

平成31年度は、X線結晶構造解析の技術を用い、作製した各種阻害剤とメタロ-β-ラクタマーゼの結合様式を原子レベルで明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Emergence of New Metallo-beta-lactamase and Spread of ESBL-producers in Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Jun-ichi Wachino
    • 学会等名
      The 30th annual meeting of Japanese society for clinical microbiology
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤開発の試み(第一報)2018

    • 著者名/発表者名
      和知野純一、金万春、木村幸司、荒川宜親
    • 学会等名
      日本感染症学会総会
  • [学会発表] メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤開発の試み2018

    • 著者名/発表者名
      和知野純一、金万春、木村幸司、荒川宜親
    • 学会等名
      日本細菌学会中部支部総会

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公開日: 2019-12-27  

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