研究課題
本課題では、黄熱病の診断法の開発を目指してエピトープブロッキングELISA法にてIgG並びにIgM検出を試みた。その結果、本教室では8種類の抗黄熱ウイルスモノクローナル抗体の作出に成功し、陽性対照血清中のIgGの結合により、同じエピトープへ結合するモノクローナル抗体の結合が阻害され、陽性対照検体が陽性であることが本法においても確かめられた。課題点としては、(1)抗黄熱ウイルスモノクローナル抗体の選定において可能な限り他のフラビウイルスとの交差反応性を持たない黄熱ウイルス特異的モノクローナル抗体を作出すること。(2)血清原液を使用する必要があること。したがって検体血清中の抗黄熱ウイルスIgG抗体価が低い場合は検出が困難となる。(3)またIgM検出系については、元々血清中のIgG量に比べてIgM抗体は微量であるため反応が弱い。そのためエピトープと検体中のIgM/IgG抗体と全く阻害作用がない場合の発色をより強力にして少しの検体中の抗体量の存在でも検出できるよう感度を上げる工夫が必要である。(4)他のフラビウイルスに対するウイルス特異的モノクローナル抗体の作出が今後必要である。2020年1月に日本においても発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への緊急対応が求められ、本課題の研究は大きく影響を受けCOVID-19に対する診断系の開発として、IgG間接ELISA法を開発した。その際、本科研費研究で培った組換えウイルスタンパク精製法、モノクローナル抗体精製法の技術およびELISA法の各種条件検討の経験が大変役に立ち、その成果は2021年9月に論文として発表した。(Pierre Mutantu et al., Int. J. Environ. Res. Public Health)
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Int J Environ Res Public Health.
巻: 18 ページ: 1-14
10.3390/ijerph18189630.