研究課題/領域番号 |
18K08439
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
平松 和史 大分大学, 医学部, 教授 (80301381)
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研究分担者 |
門田 淳一 大分大学, 医学部, 教授 (50233838)
小宮 幸作 大分大学, 医学部, 准教授 (50727550)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Candida albicans / siRNA / (1,3)β-D-グルカン |
研究実績の概要 |
昨年度の本研究において準備したCandida albicans ATCC 60193株を用いて、昨年度に引き続き、各種siRNAのin vitroでの菌の増殖抑制効果の検証を行った。C. albicansの(1,3)β-D-グルカン合成に関連するCaFKS1遺伝子に対するsiRNAを真菌細胞内に効率よく取り込まれるようにコレステロールで修飾したsiRNAを2種類新たに作成した。今年度は合計4種類のsiRNAを用いて検討を行った。真菌株を100 CFU/mlとなるように調整した菌液に各種siRNAを添加し、経時的に菌量を測定した。siRNAを含まない培地中では、接種したC.albicansは、培養開始6時間後にはおよそ300 CFU/ml、12時間後には220000 CFU/ml、24時間後には5000000 CFU/ml、48時間後には32000000 CFU/mlへと増菌していた。一方で、コレステロール非修飾のsiRNA 3および4を5μMの濃度で添加した培地中では、6時間後に両siRNAともに300 CFU/ml、12時間後にそれぞれ405000 CFU/ml、180000 CFU/ml、24時間後に6600000 CFU/ml、5450000 CFU/ml、48時間後では45800000 CFU/ml、37150000 CFU/mlへと増加していた。コレステロール非修飾の2種類のsiRNAで、経時的な菌量はsiRNAを含まない培地に比較し、有意な減少は認めなかった。またsiRNA 3及び4にコレステロール修飾したsiRNAを用いて同様の実験を行ったが、いずれのsiRNAおよび培養時間でも、明らかな生菌数の減少傾向は認めなかった。今回検討に用いた4種類のコレステロール修飾、非修飾のsiRNAでは、十分な増菌抑制効果を示すsiRNAの配列を明らかにすることはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通りにsiRNAの設計や合成は行えている。またin vitroでの検討は、順調に行うことができており、結果は得られてきている。しかしながら、想定していたほどの増菌を抑制するsiRNAを見い出すことができていない状況にある。本来、増菌を抑制したsiRNAを用いてmRNAの発現量の測定やマウス真菌血症モデルを用いた検討を行うこととしていたが、in vivo実験を行う適切なsiRNAの配列を明らかにできていないため、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに新たなsiRNAの設計及び合成を行い、in vitroにおけるC.albicansに対するsiRNAの増菌抑制効果の検討を行う。またC.albicansの真菌細胞内への取り込みの状況について検証を行うため、蛍光色素をsiRNAに付加し、共焦点レーザー顕微鏡での観察によって、その取り込みについて観察を行う。現在は5μMの濃度で検討を行っているが、より多い量のsiRNAでの検討や経時的にsiRNAを添加することで、siRNAの(1,3)β-D-グルカン合成の抑制や増菌への影響について検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
培地やピペットなどの消耗品が前年度購入した消耗品で実験の遂行が可能であったため、今年度使用額が減少し、次年度使用額が生じた。また効果の認められたsiRNAを用いてC.albicans内のCaFKS1遺伝子のmRNA量を測定する予定であったが、十分な抑制効果を認めるsiRNAを見い出すことができなかったため、予定していたmRNA抽出試薬やreal time PCR用試薬の購入を行わなかった。こうした理由で次年度使用額が生じた。次年度にはsiRNAのさらなる合成を行い、in vitroおよびin vivoにおける実験を進めることで、繰越額を含めて使用していく予定である。
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