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2018 年度 実施状況報告書

プロバイオティクスを用いた放射線性腸管粘膜障害の改善と敗血症発症抑制効果の検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K08440
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

仲村 究  福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30736690)

研究分担者 金光 敬二  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90277971)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード放射線障害 / 炎症性サイトカイン / 敗血症
研究実績の概要

本研究では、放射線障害により誘導されたanti-inflammatory cellsや急性期炎症性蛋白が腸管粘膜にどのような影響を与えるかについて、電子顕微鏡等を用いた直接的な画像評価を行うことを目的としている。マウスの小腸は他の消化管粘膜に比較してより放射線性障害を受け易いことが報告されている。本研究ではマウスの回腸への放射線照射およびbacterial translocationについて検討するものであるが、これまで申請者は1~14Gyまでの放射線照射量と回腸粘膜のダメージとの相関性について、組織学的な評価を行ってきた。現在は、腸管粘膜へのbacterial translocationの進展について、血中及び臓器内菌数の評価を画像的評価を行っている状況である。急性期蛋白であるオロソムコイドはIL-10陽性の抗炎症性単球の産生を誘導するが、これまでの検討で、放射線照射マウスにオロソムコイドの腹腔内投与を行ったところ、回腸の粘膜障害が改善される可能性が示唆され、オロソムコイドの抗炎症作用によってもたらされている可能性が示唆されている。今後、より多くのマウスを用いて検討を行い、オロソムコイドの腸管粘膜障害への修復機序について明らかにする方針である。現在、オロソムコイド投与群、非投与群で放射線障害を行い、腸管リンパ節内の自然免疫リンパ球や腹腔内に滲出するマクロファージなどについて、両群間で特徴を比較検討を行っている。同様に、プロバイオティクス投与によっても放射線照射による腸管障害が改善する可能性があり、プロバイオティクス投与群、非投与群で同様に検討を開始した。さらに、オロソムコイド血中濃度の変化や腸管組織でのオロソムコイド発現量の変化についても現在解析を行っている段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では照射後よりマウスの飲料水にプロバイオティクスを混合して投与した群と非投与群に分けて、被曝後の感染予後や臓器内菌数について評価を行っているが、飲料水の接種量について個体差があると考えられるため、少数のマウスで得られた検討結果を複数回繰り返し再現性の有無について検討が必要な状況である。また、放射線障害を受けた腸管粘膜からのbacterial translocationの進展についても、マウス間で個体差が生ずるため、これによって敗血症の進行時期が一定しない可能性が考慮される。これについてもやはり同様の検討を複数回繰り返し、再現性の有無について検討が必要と考えている。

今後の研究の推進方策

放射線障害により誘導されたanti-inflammatory cellsや急性期炎症性蛋白が腸管粘膜にどのような影響を与えるかについて、電子顕微鏡等を用いた画像評価を組み合わせた検討はこれまで十分に行われておらず、本研究では免疫応答と実際の組織的ダメージの関連性について検討を行う。急性期蛋白であるオロソムコイドはIL-10陽性の抗炎症性単球の産生を誘導するが、これまでの検討で、放射線照射マウスにオロソムコイドの腹腔内投与を行ったところ、回腸の粘膜障害が改善される可能性が示唆され、オロソムコイドの抗炎症作用によってもたらされている可能性が示唆されている。今後、より多くのマウスを用いて検討を行い、オロソムコイドの腸管粘膜障害への修復機序について明らかにする方針である。プロバイオティクスは腸管粘膜の保護・修復作用があり臨床的に広く用いられる薬剤であるが、本研究ではプロバイオティクスの投与により、放射線障害を受けたマウスの腸管粘膜が回復し、それによって腸管からのbacterial translocationを介した敗血症の発症抑制効果が得られるかについて引き続いて検討する。免疫細胞と放射線による腸管粘膜障害との関連性の評価並びに、プロバイオティクス投与による粘膜障害の改善の電子顕微鏡を用いた解析はこれまで行われておらず、独自的な試みとなる。放射線被曝下でのプロバイオティクスによる腸管粘膜修復作用、および最終的に敗血症の発症抑制効果が明らかとなれば、将来的に放射線障害を受けた患者の合併症予防において重要な意義を持つ研究となると考えられる。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の期間中にX線照射装置の故障があり、この修理のために一定の費用支出が必要となった。修理費用の見積もり分を予算内から確保したところ、その残余が次年度使用額として発生することとなった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] IL-13 attenuates early local CXCL2-dependent neutrophil recruitment for Candida albicans clearance during a severe murine systemic infection.2019

    • 著者名/発表者名
      Abe Y, Yamamoto N, Nakamura K, Arai K, Sakurai C, Hatsuzawa K, Ogura Y, Iseki K, Tase C, Kanemitsu K.
    • 雑誌名

      Immunobiology

      巻: 224 ページ: 15,29

    • DOI

      10.1016/j.imbio.2018.11.002

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2019-12-27  

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