研究課題/領域番号 |
18K08444
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
新屋 政春 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10405277)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 抗ウイルス自然免疫 |
研究実績の概要 |
新興ウイルス感染症は、ひとたびアウトブレークが起こると急激にパンデミックをもたらす危険性がある。既存の抗ウイルス薬やワクチンはウイルス特異性が高いため、さまざまな新興ウイルス感染症に対してあまねく効果を発揮することはできない。一方で、現在治療法のないウイルス感染症も多い。そこで、広範なウイルス種に対して抑制効果がある治療薬の開発が望まれている。我々は、新規抗ウイルス自然免疫機構を見出し、いくつかのウイルスの複製に必要とされるホスト側の因子を見出した。我々は、ホスト因子の抗ウイルス作用に着目し、ホスト因子の発現レベルを高感度にリアルタイムでモニタリングするシステムを構築すれば、新たな抗ウイルス薬の創出が期待できると考えた。18年度に、ホスト因子のプローモーターでドライブされる高感度レポーターを導入した安定発現細胞株を作製し、経時間的にレポーターアッセイを行い、レポーター活性の有意な上昇を確認した。本年度は、作製したレポーター細胞株を用いて、新規抗ウイルス薬の候補化合物を化合物ライブラリーから探索を行ったが、一部の薬剤で細胞数とレポーター活性に相関が認められないケースが出現した。そこで、薬剤を加えるタイミングを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
はじめに、作製したレポーター細胞株に種々の薬剤を作用させ、経時間的にレポーターアッセイを行った。細胞をプレートに撒いた直後に薬剤と反応させると細胞死が誘導され、レポーター活性を測定することができなかった。次に、細胞に薬剤を加えるタイミングを検討した。薬剤は細胞を撒いた後、12時間培養したところで添加すると、細胞死を誘導することなく、レポーター活性の有意な上昇が認められた。この結果より、薬剤を添加するタイミングは、細胞培養後12時間が適当であることが判明した。薬剤を添加するタイミングを検討したため、当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、作製した細胞株を用いて、薬剤の1次および2次スクリーニングを行う。薬剤を加えるタイミングは、細胞培養後12時間後に行う。得られたヒット化合物をウイルス感染の前もしくは後に細胞に加え、抗ウイルス作用を検証しメカニズムを解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
SARS-CoV-2感染により一部実験に支障が生じたため、残金ができた。残金は、支障が生じたスクリーニング実験に使用する。
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