本研究では食品添加物として用いられているサフラン色素の成分であるクロシンの粘膜アジュバント作用を検討した。全粒子不活化インフルエンザウイルスとクロシンを経鼻免疫すると気管洗浄液中のIgA抗体価の上昇、ウイルス感染後の体重減少の抑制および気管洗浄液中のウイルス量減少が観察された。インフルエンザ流行期間で免疫が維持されているかを確認するため最終免疫から30週の間隔を開けてウイルスを接種しても効果が認められた。クロシンはインフルエンザウイルス感染に対して有効な粘膜免疫を誘導できる粘膜アジュバントであった。クロシン添加経鼻インフルエンザワクチンは安全かつ有効な新規ワクチンになり得る可能性が示された。
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