研究課題/領域番号 |
18K08450
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
越野 一朗 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80328377)
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研究分担者 |
新敷 信人 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80569658)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マラリア原虫 / 赤血球 |
研究実績の概要 |
令和3年度までの研究により、「宿主赤血球内のcAMP濃度の上昇と、それに伴うPKAリン酸化が、マラリア原虫の赤血球侵入に必須である」という当初の仮説とは異なり、「赤血球内CAMP濃度の上昇は、原虫の侵入をむしろ抑制する」という知見が得られつつある。後者の説を支持する結果として、細胞膜を透過するcAMPアナログであるSp-cAMPはマラリア原虫の赤血球侵入を抑制する一方、同じく膜透過性であるものの非活性型であるcAMPアナログのRp-cAMPは原虫の侵入に全く影響しないことを確認した。 これらの知見をもとに、昨年度に引き続き耐性を生じない赤血球側の標的分子の検索を進めており、赤血球膜のセマフォリン7Aがマラリア原虫の赤血球侵入に対して抑制的に抑制的に働いていることを見出し、検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス禍2年目となり、 講義形式が前年度の配信のみから、配信・対面の両方に対応する必要が生じ、それに合わせた講義内容・資料の修正・準備をする必要が生じたこと、 学生実習も対面での実施が再開されることになり、密を避けられるよう実習内容の見直し、実施方法の構築・準備が必要であったこと、 PBLテュートリアル(東京女子医科大学独自の少人数グループ学修法)を、リモート形式(テレビ会議システム)で実施するためのハード面・ソフト面でのさまざまな準備が必要であったこと、 入学試験問題作成(コロナウイルスに感染した受験生のための再試験を含め2回分)、にかなりの時間を要し、研究を充分に遂行するための時間を確保することが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の目的である「原虫の侵入に必要な赤血球内の情報伝達経路を同定し、それを遮断することによってマラリアを制圧する」こととはアプローチの仕方が反対にはなるが、これまでの検討で見出した「赤血球内cAMPを上げると侵入が阻害される」ことを応用して、本研究の核心的問い・独創性である「宿主細胞を標的として耐性を生じない原虫感染防御策を確立する」方向へは、研究を一歩前に進められていると考えられる。 すでに検討を始めている項目について再現性を確認するとともに、まだ検討していない方法により赤血球内cAMPを増加させ、いずれの場合にも原虫の侵入が抑制されることを検証し、最も効果的に、かつ最も副作用のない薬剤の同定、ならびに薬剤標的分子とそのシグナル経路の検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染対策のための講義準備等のために、ほとんど実験を遂行することができなかった。使用計画は変更なく実施する。
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