研究課題/領域番号 |
18K08451
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
小松 陽樹 東邦大学, 医学部, 准教授 (80424711)
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研究分担者 |
舘野 昭彦 東邦大学, 医学部, 教授 (10138993) [辞退]
星野 廣樹 東邦大学, 医学部, 助教 (90810531)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | B型肝炎ウイルス / 爪 / 毛髪 / DNA / HBe抗原 / 遺伝子解析 / 感染 / 免疫組織染色 |
研究実績の概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)の撲滅は世界規模の重要な課題である。通常、HBV感染は血液を用いて血清学的あるいは核酸増幅法にて診断されるが、血液は感染性があるため、保管・輸送などの取り扱いには注意を要する。一方、爪と毛髪は高度にケラチン化された化学的・物理的に安定した生体試料であり、採取や保存・輸送も容易で、感染のリスクも低いと考えられ、その安定した特性から微量元素の測定や法医学の遺伝子解析に利用されている。しかし、ウイルス感染症における爪と毛髪の有用性については不明である。本研究の目的は、HBV持続感染患者の爪と毛髪を用いて、HBV DNAの検出と定量、HBV蛋白の検出と定量、HBV遺伝子遺伝子解析、免疫組織染色、電子顕微鏡観察、ヒト肝細胞キメラマウスを用いた感染実験、次世代シークエンサーを用いたde novo sequencingを行い、HBV感染症における爪と毛髪の有用性を明らかにすることである。本研究は各施設の倫理委員会の承認を得ている。倫理委員会の承認が得られた同意・説明文書に基づいて、被験者に対して本試験の内容等を十分に説明する。個人情報に関しては連結可能匿名化を実施する。匿名化対応表は、個人情報管理者が管理・保管する。データ及び試料等は、パスワード設定・独立の鍵の掛かる場所に厳重に管理し、細心の注意を払う。研究成果の公表に際しては、個人が特定されることのないように十分配慮する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに約80組の爪と毛髪が得られており、研究は順調に進んでいる。爪と毛髪からのHBV DNAが確実に抽出でき、爪と毛髪からHBV DNAがPCR法にて高率(80-90%)に検出され、HBV DNA量の測定も実施した。また、爪と毛髪から得られたHBV DNAを用いてHBV遺伝子解析を行い、感染源の同定も可能であることを確認した。さらに、トリプシンを用いた爪溶出液からHBVウイルス蛋白(HBsAg)も検出と定量が可能であることも確認できた。次世代シークエンサーを用いたde novo sequencingを実施したが、de novo sequencingではHBV遺伝子を検出することはできなかった。キメラマウスを使用した感染実験では、HBV DNA陽性、HBsAg陽性の爪に感染性はなかった。個人情報の保護に関しては細心の注意を払っており、問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
免疫組織染色を行い、爪にHBsAgが存在することを証明する予定ある。さらにIn situ hybridizationを行い、爪にHBV DNA存在することも確認する予定である。また、抗ウイルス薬治療によって、爪や毛髪のHBV DNA量やHBsAg量がどのように変化するか検討する予定である。さらに、爪細胞におけるHBV遺伝子のホストへのintegrationの有無をinverse PCRを用いて調べる予定である。また、次世代シークエンサーを用いたde novo sequencingではHBV遺伝子を爪から検出することができなったため、次世代シークエンサーを用いたターゲットシークエンスを実施する。今後も個人情報の保護に関して、十分な注意を払って実験を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シークエンスや免疫組織染色等に高額の費用がかかると予想され、費用の一部を残して次年度に使用する予定である。
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