研究課題/領域番号 |
18K08452
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
石井 良和 東邦大学, 医学部, 教授 (90246695)
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研究分担者 |
舘田 一博 東邦大学, 医学部, 教授 (20236558)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 抗菌薬適正使用 / ブレイクポイント / HFIM / シミュレーション / AMR対策 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、感染症治療時の抗菌薬選択基準となる臨床的ブレイクポイント(BP)を設定・検証することである。その為のモデルとして、本研究ではHollow-Fiber Infection Model(HFIM)を使用する。 現在、カルバペネム系抗菌薬に感性を示すカルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)感染症が問題になっているが、そのような菌株にカルバペネム系抗菌薬が有効であるのかは十分に明らかにされていない。そこで、本研究では生体内におけるカルバペネム系抗菌薬の薬物動態をHFIMでシミュレートし、その環境下におけるカルバペネム感性CPEの消長及び耐性菌の出現を解析することにした。 カルバペネム系抗菌薬の一つであるメロペネムの最小発育阻止濃度(MIC)値が感性と判定されたIMP産生腸内細菌目細菌数株を講座に保管されている菌株ライブラリーより選別した。次に、メロペネムのMIC値の再測定とリファンピシン暴露下における耐性菌出現頻度の測定を実施した結果、5株のEnterobacter cloacaeと1株のKlebsiella oxytocaがHFIM試験候補菌株として選ばれた。5株中1株のE. cloacaeとK. oxytocaをChemostat systemに接種し、1g・q8hの用法用量でメロペネムの短期投与試験を実施した結果、両菌株で初期菌数に比較した総菌数の減少が認められた。これら2株をHFIM試験菌株とし、今後は昨年度に構築・評価が完了したHFIMを用いてメロペネムの長期投与試験を実施する。試験成績を用いて、従来のメロペネムBPの検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度中にHFIM試験菌株の選定が完了した。しかしながら、HFIMの運転を制御するパソコンに不具合が生じ、HFIMを用いた抗菌薬の長期投与試験の実施が困難な状況になった。そこで、長期間の安定した制御が可能な産業用パソコンの導入作業を進め、本年度末に作業が完了した。次年度にHFIMを用いた試験を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
HFIM試験菌株に選定されたメロペネム感性IMP産生菌(E. cloacaeもしくはK. oxytoca)をHFIMの中空糸カートリッジに接種し、1g・q8hの用法用量でメロペネム投与を2週間実施する。経時的に培養液のサンプリングを行い、ミューラーヒントン寒天培地(MHA)及びメロペネム含有MHAに培養液を塗布し、総菌数・耐性菌数を測定する。測定値よりメロペネムの治療効果を判定し、効果に乏しい場合は、1g・q6hの用法用量で再度試験を実施する。収集したデータを用いて、従来のメロペネムBPの検証を行う。
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