研究課題/領域番号 |
18K08457
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
吉河 智城 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (20399463)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ワクシニアウイルス / ワクチン / ラッサウイルス / ラッサ熱 |
研究実績の概要 |
本年度は前年度より引き続き、ワクシニアウイルスLC16m8株(m8)の全遺伝子を保持するBACプラスミド(pLC16m8.8S-BAC)に外来遺伝子を簡単かつ速やかに組込み可能な改良型m8-BACシステムの確立を行った。ドナープラスミドpUC-Zeo-mKO2-B16、pCR-Amp-mApple-A46、pUC-Kan-EGFP-A40を作製し、これを用いてpLC16m8.8S-BACへ外来遺伝子が簡単かつ速やかに組込み可能であったことから、改良型m8-BACシステムは確立出来たと結論づけた。次にこれらのドナープラスミドにラッサウイルスの核タンパク質(NP)、エンベロープ糖蛋白質(GPC)とマトリックスタンパク質(Z)の遺伝子を保持し、タンパク質を感染細胞内で発現する組換えm8(それぞれm8-NP、m8-GPC、m8-Z)の確立を試みた。まず、NP遺伝子、GPC遺伝子、Z遺伝子を組込んだpUC-Zeo-mKO2-B16-Lassa_NP、pCR-Amp-mApple-A46-Lassa_GPC、pUC-Kan-EGFP-A40-Lassa_Zを作製し、これらを用いてRed/ET法によりpLC16m8.8S-BAC 内のB16R遺伝子とB17L遺伝子の間にNP遺伝子、A46R遺伝子とA47L遺伝子の間にGPC遺伝子、そしてA40R遺伝子とA41L遺伝子の間にZ遺伝子の導入を試み、NP、GPC遺伝子については成功した。作製したBACプラスミドからウイルスのリカバリーを試み、m8-NPとm8-GPCのリカバリーに成功した。また、リカバリーしたm8-NPとm8-GPCが感染した細胞でNPとGPCが発現していることを、ラッサウイルスのNPとGPに特異的な抗体を用いた蛍光抗体法により確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点ではラッサウイルスのNP遺伝子とGPC遺伝子をpLC16m8.8S-BACに導入し、感染性を持つ組換えm8をリカバリーすることに成功している。一方でZ遺伝子については現時点でpLC16m8.8S-BACへの導入に成功していない。ドナープラスミドへのZ遺伝子の導入は特段の困難は無かったことからZ遺伝子自身の毒性によりBACプラスミドへの導入を困難にしているとは考えにくく、今後成功する確度は高いと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き改良型m8-Zの作製を試みる。また、既に作製済みのm8-NPとm8-GPCについては今後マウスに接種、血清を採取する。血中に含まれる特異抗体価については免疫蛍光抗体法(IFA)を用いて確認を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に於いて研究は概ね順調であったが、一部成功していない部分に使用予定であった助成金が翌年度に持ち越された。翌年度は本年度より引き続いている研究に当該助成金を使用すると共に、翌年度分の助成金についても研究予定としている動物実験に使用予定である。
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