高度弱毒化痘そうワクチン株であるワクシニアウイルスLC16m8を組換えワクチンベクターとして使用するにあたり、前年度までに外来遺伝子を簡単かつ速やかに組込み可能なm8-BACシステムの確立を目指した。今年度は前年度までに確立したもの以上に簡便に外来遺伝子を組込むことが可能となるシステムを確立した。具体的にはBACプラスミドに外来遺伝子を導入するためのマーカーとして使用している薬剤耐性遺伝子に加えて、蛍光タンパク質遺伝子をマーカーとして使用する系を確立した。これにより外来遺伝子の導入の成否を、アガロースプレート塗布後に出現した大腸菌コロニーについて、一般的な遺伝子工学実験で使用されているLEDトランスイルミネーター上で、蛍光タンパク質発現の有無により判定することが可能となった。更に、これまで判定に手間のかかっていた導入後に不要となる遺伝子(薬剤耐性遺伝子と蛍光タンパク質遺伝子)の除去についても同様に蛍光タンパク質遺伝子の発現の有無により、簡単に判定可能となった。次にラッサ熱ワクチンを開発するため、まず上記m8-BACシステムを用いてラッサウイルスの核タンパク質(N)及びエンベロープ糖蛋白質(GP)を発現する組換えワクシニアウイルスを作製した。本年度はこれらの免疫原性を評価するために、まずウイルスを大量調整した。次にこれをマウスに2週間間隔で2回皮内接種したのち、最終免疫から2週間後に血清を採取した。今後は血清中のラッサウイルスに対する特異抗体の存在を測定する予定である。
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