サイトメガロウィルス再活性化と造血幹細胞移植後の再発抑制効果に関する研究は、世界中から報告があるが、その機序については未だ明らかになっていない。サイトメガロウィルス特異的T細胞、NK細胞、γδT細胞などが関与しているとの報告もあるが、各種細胞分画に関して、系統だって解析された研究は未だない。本研究では、サイトメガロウィルスによる抗腫瘍効果の担い手がどの細胞分画であるのかを明らかにすることを目的としている。 造血幹細胞移植予定の患者を対象として、移植前1回と移植後60日まで毎週血液を採取し、定量PCR検査にてサイトメガロウィルス再活性化の有無を調べた。近年、サイトメガロウィルス再活性化予防のため、抗ウィルス剤投与が行われる症例が多くなったこともあり、再活性化する症例の頻度が低下したため、新たな研究協力施設を加えることにより、登録症例数の増加を図ったが、サイトメガロウィルス再活性化症例は154例中12症例(HHV-6との共感染入れて17例)しか認めなかった。HHV-6陽性症例は、45症例であった。昨年度、FACS解析にて各種細胞分画(CD4陽性細胞、CD8陽性細胞、CMV特異的CD4細胞、CMV特異的CD8細胞、制御性T細胞、NKT細胞、NK細胞)の解析で、解析パターン決定に時間を要してしまったが、本年度は良好な解析パネル設定が決まり、有意な細胞群の最終確認中である。サイトカイン測定も行い、ST2が再活性化時に上昇する傾向を認めた。
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