研究実績の概要 |
令和元年度はこれ迄の実験結果の再現性とメカニズムの解明を行う為にin vitroでの実験継続と共にin vivo評価系での検討を開始した。 In vitro評価系での結果として、HBVを感染させた新鮮ヒト肝細胞(PXB細胞)群では、HBV非感染PXB細胞群に比べ1)SA-βgal活性が低下し、細胞老化マーカーである p21CIP1の核内タンパク量が減少する事; 2)そのSA-βgal活性やp21CIP1の核内タンパク量は、新規核酸アナログCFCPの添加によりHBV非暴露のPXB細胞群と同等のレベルに戻る事を確認した。 また種々の核酸アナログがHBV非感染PXB細胞およびヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に与える影響について、核酸アナログ非添加群に比べて1) PXB細胞では既存の核酸アナログ (ETV・TDF)添加では変化なし、CFCP添加では核内p21CIP1, p27KIP1量が上昇する事; 2) HUVECではTDF・ETV・CFCPの添加で核内のHMGB2量が上昇, CFCPの添加でp21CIP1上昇, ETV・CFCPの添加で p33ING1b, p53は上昇し、p27KIP1は低減する事が明らかになった。更にこれらの発現量はMAPKAPキナーゼ2阻害剤共存で1)HBV暴露PXB細胞やHBV非暴露PXB細胞では影響を受けない事; 2)HUVECでは影響を受け、Ros産生量の変動が見られる一方でDNAダメージ応答関連タンパク発現には影響がない事が分かった。 In vivo評価系での検討では以下3群のヒト肝キメラマウス:1)HBV感染無し・核酸アナログ投与無し; 2)HBV感染有り・核酸アナログ投与無し; 3)HBV感染有り・核酸アナログ投与有り,より採取された肝臓切片サンプルを用い、p21CIP1, 8-OHdG, TGの産生レベルと局在の解析を免疫染色法で試みた。
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