研究実績の概要 |
令和二年度は、in vivo評価系での検討を進めた。具体的な成果として以下3群のヒト肝キメラマウス (PXBマウス):1)HBV感染無し・核酸アナログ投与無し; 2)HBV感染有り・核酸アナログ投与無し; 3)HBV感染有り・核酸アナログ投与有り,より採取された肝臓切片サンプルを用い、細胞老化関連因子の発現レベルと局在を解析した。以下に結果を示す。 肝臓組織から抽出したタンパク質によるWB法では上述の3群のPXBマウス間に顕著な差は見られなかった。一方で免疫組織染色による解析ではHBVを感染させたPXBマウス(解析時にHBV-DNA ~6x108copies/mL)の肝組織では、HBV非感染PXBマウスに比べ1)細胞老化マーカーである p21の核内タンパク量が減少する事; 2)そのp21の核内タンパク量は、新規核酸アナログE-CFCPの添加により(E-CFCP投与10週で解析時のHBV-DNA は~3x104copies/mL)HBV非暴露のPXBマウスと同等のレベルに戻る事を確認した。 また既存の核酸アナログ, ETVがHBV感染PXBマウス与える影響について、ETV投与10週で解析時のHBV-DNA が~1.4x106copies/mLの時 核酸アナログ非添加群に比べてETV投与でもCFCP投与群と同様に核内p21量が上昇する事が明らかになった。更にこれらの肝組織をAnti-Phospho-Histone H2A.X抗体、Anti-Histon H2A.X 抗体, Anti-Acetyl-Histon H3で免疫染色することにより、HBV感染及び、核酸アナログ E-CFCPによるp21の核内発現量変動はHistonH2A.X発現量に関連しており、DNAダメージに関連するものでない事が明らかになった。一方で8-OHdG, TGの産生レベルと局在に顕著な差は確認されなかった。
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