AKAP13ヘテロノックアウトマウスでは、骨粗鬆症様の変化を認め、骨形成は低下、骨芽細胞数は低下していた。一方で破骨細胞数には有意差は認めず、骨吸収へは大きな影響を及ぼしていなかった。従って、AKAP13は骨形成に関与するものと考えられ、また大腿骨のmRNA解析ではヘテロマウスでRUNX2の低下が認められ、骨形成の極早期の段階での関与が示唆されている。 AKAP13のホモンノックアウトマウスは胎生致死であるため、AKAP13骨特異的コンディショナルノックアウト(cKO)マウス作製した。22週齢雌マウスの検討では、Floxed/Floxed/CreはWT/WT/Creと比較して、骨密度・骨梁幅・骨梁数の低下と骨梁間隙の増大を認め、骨粗鬆症様変化をもたらした。 MC3T3-E1細胞でのLbc(humanAKAP13)高発現(OE)は、コントロールと比較して、b-カテニンの核内局在の増加が観察され、Wnt3a添加により増強した。Akap13ノックダウンによりLef1 mRNA発現を有意に減少させ、他のWnt関連遺伝子発現には有意な変化を認めなかった。Lbc OEはRhoA活性を増加させたが、guaninenucleotide exchange factor(GEF)欠失Akap13変異体導入ではRhoA活性の増加を認めなかった。Lbc OEはAlp mRNA発現を有意に増加させた。Akap13 KDは、RhoA導入量依存的にAlp遺伝子発現低下の増強傾向を示した。Lbc OEのMC3T3-E1細胞におけるRho阻害剤添加は、Wnt3a誘導性b-カテニンの核内局在の減少を示し、Akap13のb-カテニンへの作用が、RhoA活性化を介していることが示唆された。 以上の結果から、AKAP13はGEFドメインを有したRhoA活性化を介した経路により、Wnt3a誘導性b-カテニンの核内移行を促進し、同時にLef1遺伝子を制御することで、骨形成関連遺伝子発現に寄与していることが示唆された。
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