研究課題/領域番号 |
18K08470
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
安藤 仁 金沢大学, 医学系, 教授 (50382875)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肥満 / 生活習慣病 / 生体リズム / 体内時計 / 時計遺伝子 / 褐色脂肪細胞 / 熱産生 |
研究実績の概要 |
肥満対策は世界的な急務であり、その治療標的として褐色脂肪細胞(BA)が注目されている。BAの熱産生には明瞭な概日リズムが認められ、時計遺伝子PER2はBA熱産生制御因子UCP-1の発現を亢進させることから、BAの熱産生リズムはBAの体内時計により制御されている可能性が高い。また、体内時計の障害は肥満を惹起することが知られており、その一因としてBAの体内時計障害が不適切な熱産生リズムをもたらしエネルギー消費量を低下させる可能性がある。そこで本研究は、それらの可能性を検証するために、BA特異的体内時計機能欠損マウスを作製し、BAの熱産生リズムとエネルギー消費におけるBAの体内時計の役割を明らかにする。さらに、BAの熱産生リズムの制御因子を同定するとともに、その因子を体内時計障害性肥満モデルに外因性投与し、肥満の予防・治療効果を検討する。 平成30年度は、まず、時計遺伝子Bmal1のfloxマウスとUcp1 Creマウスを交配させることにより、BA特異的Bmal1欠損(BA-Bmal1 KO)マウスを作製した。このマウスのBAでは、BA特異的に体内時計機能がほぼ完全に欠損するとともにUCP-1の発現が亢進し、UCP-1発現リズムにも変化が認められることを見出した。 平成31年度は、BA-Bmal1 KOマウスをさらに解析したところ、このマウスでは対照マウスと比し、UCP1発現が亢進しているにもかかわらず、深部体温リズムはほぼ変わらず、むしろ低い時間帯を認めることが判明した。また、自発活動量は有意に増加しているにもかかわらず、エネルギー消費量はむしろ低く、呼吸交換比は高かった。また、高脂肪食負荷により肥満をきたしやすい傾向を認めた。したがって、BA-Bmal1 KOマウスでは熱産生、特に脂肪酸を利用した熱産生が障害されている可能性がある。現在、この可能性について解析を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BA-Bmal1 KOマウスの表現型は顕著ではなく、その解析には当初の予定よりも多くの実験を必要としている。また、BA-Bmal1 KOマウスの解析により、UCP-1発現リズムがBAの熱産生リズムにおよぼす影響はそれほど大でないことが示唆されたため、in vitroにおけるUCP-1発現リズムをセットする因子の同定は中断中である。しかし、本研究の第一の目的である「BAの熱産生リズムとエネルギー消費におけるBAの体内時計の役割の解明」は達成しつつあり、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ひき続き、BA-Bmal1 KOマウスを解析し、BAの体内時計欠損によりエネルギー消費量が低下する機序を解明する。この成果は直接的に新たな肥満の予防・治療法の開発につながる可能性が高く、令和2年度内の肥満モデルで検討開始を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の物品を購入するタイミングが次年度にややずれ込んだものの、支出はほぼ計画通りであり、このまま当初の使用計画を継続する。
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