本研究では、オートファジ―を制御するmicroRNAを用いたポンペ病骨格筋の治療戦略の探索を目的とする。Pompe病の骨格筋ではライソゾーム内のacid alpha glucosidaseが欠損することにより、autophagyの機能障害が引き起こされることをこれまでの研究で示した。autophagyの機能障害により、autophagyに関連する小胞や本来autophagyによって分解される物質が罹患組織内に蓄積し、Pompe病の進行や治療効果を左右する病態を形成している。 ヒトPompe病骨格筋のmicroRNA発現解析において、特に他の代表的な筋罹患をする糖原病との比較を実施した。骨格筋特異的miRNA(myomiRNA)に注目した解析では、Pompe 病骨格筋においては、miR-499a-5p、miR-206、miR-208b-3pの発現が約40%に低下していた(p<0.05)。miR-1-3pの発現は有意な発現の変化はなく、糖原病V型でも同様であった。miR-206の発現が著しく亢進することが判明しているDuchenne型筋ジストロフィーとは異なるprofileであった。同様に糖原病V型においてもmiR-206の発現の亢進は見られなかった。miR-206は、骨格筋の再生を促進すると考えられており、いわゆるdystrophic changeが見られないPompe病ではmiR-206の発現の更新は見られなかった。 TFEBの発現レベルの低下をもたらし、autophagylysosomal pathwayの機能を低下させると報告されているmicroRNA-128の発現は、microRNA-128-3pがPompe病骨格筋では40%に低下していた(p=0.04)が、糖原病V型では低下が見られなかった。
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