研究課題
少子高齢化社会において、不妊を来す病態の解明は急務である。卵巣機能不全へのアプローチにおいて、視床下部―下垂体―卵巣(H-P-O)生殖内分泌調節系の分子機序は未だ十分に解明されていない。我々は、卵巣に発現し卵胞発育を調節する骨形成タンパク:BMP分子に着目して研究を進め、BMPが卵胞での細胞間コミュニケーターとして、全身ではH-P-O系モデュレーターとして機能し、卵胞発育・ステロイド合成を制御する可能性を見出した。前年度からの検討では、卵巣における時計遺伝子群の役割をヒト卵巣顆粒膜細胞を用いて検討し、Clockとステロイド合成酵素群の発現に正の相関を認め、ステロイド合成系上流の転写因子NR5A1/A2との関連も明確となった。卵巣同様のステロイド合成系をもつ副腎皮質でも、ClockとStARの発現に正の相関を認め、内因性activinがClock発現に抑制的に作動しており、副腎でも顆粒膜細胞同様の時計遺伝子とステロイド合成間に関連が検証された。また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とその治療に重要なグルココルチコイドとステロイド合成への影響についてBMPに着目して検討したところ、デキサメサゾン(Dex)が、顆粒膜細胞においてFSHが誘導するエストロゲン産生とP450aromの発現およびcAMP合成を抑制すること、プロゲステロン産生とP450sccと3βHSDの発現を増加することが示された。DexがBMP-15存在下でBMP受容体シグナルを増加し、BMP-15は顆粒膜細胞のグルココルチコイド受容体(GR)発現レベルを増強させる相互関係も見られた。卵胞内BMP制御と卵巣外BMPシステムを包括的に捉えて、コンベンショナルな卵巣機能調節モデュレーターとしてのBMP分子の応用を目指して、視床下部-下垂体を含めたBMPのBioavailabilityとその応用性をさらに探索している。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 13件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (34件) (うち国際学会 8件、 招待講演 6件)
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