研究課題
昨年度、高脂肪食飼料を与えたWTマウスでは病理学的に脂肪肝を呈しており、肝臓中性脂肪(TG)含有量も増加していたのと対称的にLysMFthKOマウスではその程度は軽度であったことを見出していた。肥満脂肪組織と同様に、肝臓脂肪蓄積においてもマクロファージ鉄の関与が示唆されたことから、本年度は肝臓の表現型について検討した。マクロファージ特異的フェリチン欠損(LysMFthKO)マウスと対照群の野生型(WT)マウスを用いて解析を行った。高脂肪食飼料負荷によって、肝臓におけるTNF-α, MCP-1などの炎症性サイトカインの遺伝子発現増加は、LysMFthKOマウスでは抑制されており、またF4/80免疫組織化学染色での肝臓へのマクロファージ浸潤もWTと比べてLysMFthKOマウスで抑制されていた。以前から、非アルコール性肝疾患の病態には鉄が関与することが知られているが、本結果は、特にマクロファージ鉄が重要であることを示唆するものである。よって、脂肪肝炎(NASH)のモデルを作成・解析した。短期間でNASH表現型を呈するコリン欠乏高脂肪食飼料(MCAHFD)と対照飼料を与えてWTとLysMFthKOマウスを比較検討した。MCAHFD群では、病理組織ならびに遺伝子発現において、肝臓における炎症や線維化が惹起されたが、その程度はLysMFyhKOマウスで軽度であった。一方、肝臓脂質蓄積(病理組織、TG含有量)についてはWT群とLysMFthKOマウス群の間に差は認めなかった。またMCAHFD群では、対照飼料群と比較して体重増加が軽度であり、また血糖値は低下していた。
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