研究実績の概要 |
1) HSP72全身型ノックアウトマウス (HSP72KO)の表現型を解析する。対照マウスに比べて体重は不変であるが、空腹時高血糖、食後高血糖、耐糖能悪化、インスリン抵抗性増強、内臓脂肪増大、肝脂肪化が観察された。糖新生 (PEPCK, G6Pase)、脂肪合成(SREBP-1c, FAS)に関連する遺伝子発現は亢進し、血中サイトカイン(adiponectin, IL-6, TNF-α, IL-1β)は高値を認めた。adiponectin値は低下した。各組織におけるインスリンシグナル (IRS-1, IRS-2, Aktなど)は低下し、ストレス関連分子の発現や活性(JNK, NF-κB, IL-6, PERK, eIF2α, IRE1α, NOX, mtROSなど)は亢進した。膵においては免疫組織学的検討によりインスリン発現低下、PDX-1発現低下を認め、マクロファージの組織浸潤が増加した。 2) HSP72KOに対し、臓器特異的にHSP72を発現回復できるシステムを構築する。膵β細胞、および脂肪組織特異的プローモータを使用したTgマウスラインを構築した。各々のHSP72発現回復マウスの代謝状態・体組成・慢性炎症などを検討し、特定の臓器におけるHSP72の役割を解明するHSP72発現回復を行った以外の臓器での遺伝子発現変化、蛋白発現変化および血中サイトカインを検討し、臓器間および分子間相互作用を解明する。
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