研究実績の概要 |
本年度もヒト剖検および手術膵標本を用いて組織学的解析を継続して行っている。膵内分泌細胞量の生理的・病的変化を明らかとするため、PP細胞およびδ細胞の免疫染色を行い、肥満や加齢、糖尿病における組織学的変化を検討した。また全膵内分泌細胞量の変化を検討するため、クロモグラニンやシナプトフィジンによる染色も合わせて行い検討を行った。またその他膵癌患者における膵内分泌細胞の変化や様々なβ細胞マーカーの生理的・病的状態での変化についても検討を行っている。また、膵手術を行った症例において出生体重と膵α、β細胞量との関係を明らかにし、英文誌に報告した(Diabetologia 2020)。本検討では低出生体重がβ細胞量の減少を通じて将来の糖尿病発症リスクに関わる可能性を示すとともに、小児期の肥満はβ細胞量の増加に関わる可能性が示唆された。これらの結果については国内外の学会にて発表を行った。こうした結果を踏まえて、「β細胞保護」の観点から糖尿病の予防・治療を行う重要性について英文総説を執筆した(invited review, Expert Opinion on Pharmacotherapy 2020, Nutrients 2020)。
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