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2018 年度 実施状況報告書

Activinによる糖代謝制御機構のメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K08503
研究機関東京大学

研究代表者

岡崎 由希子  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30422299)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードActivin / 糖新生
研究実績の概要

アデノウイルスを用いてActivin Bを過剰発現させたC57BL/6Jマウスにおける検討では、Activin B過剰発現マウスではコントロールマウスに比べ、ブドウ糖負荷試験における耐糖能が改善しているという結果を得た。また、streptozotocine投与により膵β細胞を破壊しインスリン分泌をほぼ枯渇させた1型糖尿病モデルマウスにActivin Bを過剰発現させてブドウ糖負荷試験をしたところ、やはり、コントロールに比べて耐糖能は改善していた。このマウスの肝臓では、糖新生に関わるPEPCKやG6PaseのRNA発現量が低下しており、このことが血糖値を低下させた要因の一つと考えられた。また、Activin Bを過剰発現させたC57BL/6Jマウスにピルビン酸負荷試験を施行したところ、Activin B過剰発現マウスでは糖産生が低下していることが示唆された。我々はActivinBは糖新生抑制を有すると考え、そのメカニズムを検討した。
Fao細胞にリコンビナントのActivin Bを投与し、Smad1,5,8のリン酸化をウェスタンブロットを施行した結果、これらがリン酸化されていることを示せた。すなわち、Activin BはALK2,ALK3 ALK6を介してSmad1,5,8をリン酸化して標的遺伝子の転写を調節している可能性が考えられた。また、Fao細胞にtype I 受容体ALK2/3/6の選択的阻害薬LDN-193189を投与したところ、ActivinBによるPck1の抑制作用は有意に減弱した。 逆に、type I 受容体のconstitutively active formであるALK2(QD)を投与したところ、forskolin/dexamethasoneで誘導されるPck1の発現が抑制された。これらのことより、ActivinBはALK2、ALK3、ALK6を活性化しSmad1,5,8をリン酸化する経路で糖新生を抑制することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Activin Bによる糖新生抑制の分子メカニズムの解明に関して、マウス、培養細胞を用いて、合致する結果が得られつつある。

今後の研究の推進方策

我々はActivin Bが糖新生を抑制するのみならず、FGF21の産生を促進することを見い出している。FGF21はインスリン抵抗性改善作用、血糖低下作用、肥満改善作用等を有する蛋白である。Activin Bの糖代謝改善作用の大きな柱の1つとして、ActivinBのFGF21産生亢進作用に関するメカニズムの解明を進めていきたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Activin B-Fstl3による代謝制御機構とその破綻による代謝異常2019

    • 著者名/発表者名
      Naoki Kobayashi, Yukiko Okazaki, Takashi Kadowaki, Kohjiro Ueki
    • 学会等名
      Cardio Renal Diabetes Conference 2019
  • [学会発表] Activin B-Fstl3による代謝制御機構とその破綻による代謝異常2019

    • 著者名/発表者名
      小林直樹、岡崎由希子、門脇孝、植木浩二郎
    • 学会等名
      第33回 糖尿病・肥満動物学会 年次学術集会
  • [学会発表] Activin/FSTL3による糖代謝制御機構2018

    • 著者名/発表者名
      岡崎由希子、小林直樹、岩根亜弥、笹子敬洋、諏訪内浩紹、小林正稔、窪田直人、山内敏正、門脇 孝、植木浩二郎
    • 学会等名
      第39回日本肥満学会
  • [学会発表] Activin B - Fstl3による代謝制御機構とその破綻による代謝異常2018

    • 著者名/発表者名
      小林直樹、岡崎由希子、門脇孝、植木浩二郎
    • 学会等名
      第61回 日本糖尿病学会年次学術集会
  • [学会発表] Hepatic Activin B controls glucose metabolism2018

    • 著者名/発表者名
      Naoki Kobayashi, Yukiko Okazaki, Takashi Kadowaki, Kohjiro Ueki
    • 学会等名
      39th JASSO, APDO SYMPOSIUM 2018 Asia-Pacific Diabetes and Obesity Study Group Joint with the 39th Annual Meeting of Japan Society for the Study of Obesity
    • 国際学会
  • [学会発表] Activin B-Fstl3による代謝制御機構とその破綻による代謝異常2018

    • 著者名/発表者名
      小林直樹、岡崎由希子、門脇孝、植木浩二郎
    • 学会等名
      第33回 日本糖尿病合併症学会

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公開日: 2019-12-27  

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